国語 
 
  
  評論の長文化と漢文における漢詩の出題で難易度は昨年より難化。時間配分が勝負を分けるか。  
      
    
      | 大問数 | 
      減少 | 変化なし | 増加  | 
     
        
      | 設問数 | 
      減少 | 変化なし | 増加  | 
     
        
      | マーク数 | 
      減少 | 変化なし | 増加  | 
     
        
      | 難易度 | 
      易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化  | 
     
     
  大問数4、各大問の配点50点という形式に変化はない。第3問の古文で解答数が一つ増え、解答数は36となった。第1問の評論文は1988年共通一次試験本試験での出題歴がある山本健吉。本文の長さが約5割増しと長文化し、速読力が求められた。設問は標準的なものであった。小説文は、文章・設問ともに、理解し、解くのに時間のかかる問題であったため、得意不得意の差が出ると思われる。現代文全体では、評論は昨年並みだが、小説はやや難化したと思われる。古典は、古文は昨年並みの問題であったと思われるが、漢文は本試験では2003年度以来の漢詩が出題されるなど、昨年度に比べて難化したと思われる。国語全体として、難化したものと思われる。
 
 【出題フレーム】 
   | 
大問  | 
出題分野  | 
設問数  | 
マーク数  | 
配点  | 
 
2007  | 
第1問  | 
評論:山本健吉「日本の庭について」  | 
6  | 
10  | 
50  | 
 
第2問  | 
小説:堀江敏幸「送り火」  | 
6  | 
9  | 
50  | 
 
第3問  | 
「兵部卿物語」  | 
6  | 
9  | 
50  | 
 
第4問  | 
「竹葉亭雑記」(姚元之)  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
2006  | 
第1問  | 
評論:別役実『言葉への戦術』  | 
6  | 
10  | 
50  | 
 
第2問  | 
小説:松村栄子『僕はかぐや姫』  | 
6  | 
9  | 
50  | 
 
第3問  | 
「うなゐ松」(木下長嘯子)  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
第4問  | 
「胡祭酒集」(胡儼)  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
2005  | 
第1問  | 
評論:吉田喜重『小津安二郎の反映画』  | 
6  | 
10  | 
50  | 
 
第2問  | 
小説:遠藤周作『肉親再会』  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
第3問  | 
「日光山縁起」  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
第4問  | 
「千百年眼」(張燧)  | 
6  | 
9  | 
50  | 
 
2004  | 
第1問  | 
評論:渡辺裕『聴衆の「ポストモダン」?』   | 
6  | 
11  | 
50  | 
 
第2問  | 
小説:森鴎外『護持院原の敵討』  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
第3問  | 
「うつせ貝」(中島広足)  | 
6  | 
8  | 
50  | 
 
第4問  | 
「雪濤小説」(江盈科)  | 
6  | 
9  | 
50  | 
 
 
過去17年間の平均点
| 2006 | 
2005 | 
2004 | 
2003 | 
2002 | 
2001 | 
2000 | 
1999 | 
1998 | 
 
| 125.52点 | 
119.55点 | 
114.15点 | 
101.08点 | 
112.68点 | 
102.05点 | 
112.92点 | 
107.17点 | 
116.02点 | 
 
  | 1997 | 
1996 | 
1995 | 
1994 | 
1993 | 
1992 | 
1991 | 
1990 | 
  | 
 
  | 140.20点 | 
137.89点 | 
134.82点 | 
129.62点 | 
134.30点 | 
122.90点 | 
127.84点 | 
133.1点 | 
  | 
 
 
 
 
  【第1問】「評論文」山本健吉「日本の庭について」→昨年並み
 
山本健吉氏の文章で、内容は西洋との対比を通じた日本文化論。テーマとしてはオーソドックスなものだが、文章量が多く、読解に時間をかけすぎると時間的に厳しくなる。問1の漢字がやや難しく、1〜2個失点する可能性がある。問3の「一期一会」に絡む設問や、問4の志賀直哉氏の主張を読み取る問題などが、設問の意図を汲んで解答する必要があったが、全体では標準的なレベルであった。
 
 
 
【第2問】「小説文」堀江敏幸「送り火」→難化
 
今年も現代作家である堀江敏幸氏の小説が題材。内容的には、受験生にとってやや読み取りにくいものだけに、間違って読み取ると大きく失点してしまう可能性がある。問1の語句は、「老成する」など辞書的な意味を知っていないと間違えるものがあった。問2以降は、主人公を中心とした心情の変化と人物関係を問うものであり、難易度の高いものであった。問6を二つとも正解するには、注意深く選択肢を読む必要があった。全体的に難化したといえる。
 
 
 
【第3問】「古文」『兵部卿物語』→やや易化
 
文章量が少し増え、物語であったため、いくらか読むのに苦労したかもしれないが、難しくはない。問1は「おろかなり」・「にほひやかなり」等必修単語が問われたが、正解するには内容把握も必要。問2「に」の識別は基本文法事項。問3〜問6は、選択肢に紛らわしさがなく、表現に沿った内容把握さえできていれば正解できる問題。物語に慣れていれば容易に解けるが、物語が苦手だと勝手な思い込みから誤読を誘われやすい問題であった。
 
 
 
【第4問】「漢文」姚元之『竹葉亭雑記』→難化
 
問題文の分量は昨年の150字に比べて短く138字であったが、2003年以来久々に散文中に詩がからむ問題が出て、漢詩のきまり(押韻)の問題も出た。全体としては、昨年が一昨年度よりもかなり易化したことに比べると、特に漢詩の解釈のからんでいる問6などは昨年度よりはかなり難しいと思われる。問1の熟語の問題に新傾向が見られ、問3の返り点と読み方の問題が復活した 
   
 
  
 現・古・漢の3つにわたるこれだけの分量を80分で解き終わるには日頃から時間配分の練習を重ねておく必要があります。「マーク式だからなんとかなる」という安易な考えでは、志望大に合格する十分な得点はとれないことを肝に銘じてください。現代文第1問の「評論」に苦手意識のある生徒は、まず漢字・語彙といった知識事項を固めることが先決です。こうした「言葉についての知識」は、単に漢字問題や語彙問題で点を取るだけでなく、読解力を根本から支えることにつながります。第2問の「小説」については、主観的に読む癖を直して、より客観的に読み、選択肢を分析していくための学習を進めていきましょう。高3のスタート時の段階では、現代文を解くのに時間を取られすぎて、古文・漢文に十分な時間が使えないまま終わってしまう人も多いようなので、過去問の演習などを通して時間配分の訓練をするように心がけましょう。古文・漢文では単語・文法・句法などの知識で確実に点がとれる部分があるので、まず第一に基礎知識をしっかり身につけることと、それを活かせるためのトレーニングを積み重ねて下さい。こうした一連の学習の進捗度・定着度を測定し、自分の弱点を修正して読解力を高めていくためには、東進の「センタープレ入試」を年6回定期的に受験していくことが効果的です。 
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