倫理
大問構成・マーク数は昨年と同じ。オーソドックスな出題形式・内容。
大問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 |
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
2007年度は昨年と大問構成は同じで、一般的な教科書の章立てに近い出題の順番であった。青年期の心理、源流思想、西洋近代思想、日本思想、現代社会分野の順での5問構成である。出題されているテーマは基本事項であるが、問われている内容は深く掘り下げたものが多く、表層的な理解では正答に至らない場合がある。昨年から引き続き、日本史、世界史分野に該当する知識事項が増加した。第1問で、複数の概念とその適切な具体例の組み合わせを選ぶ問題が2問あり、ここで時間をとった生徒が多かったのではないか。総じて、大問構成が同じで、対策が立てやすかったこともあり、平均点は昨年並みと予想される。
【出題フレーム】
|
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2007 |
第1問 |
青年期の心理 |
3 |
3 |
8 |
第2問 |
源流思想 |
8 |
9 |
24 |
第3問 |
「和」について |
8 |
9 |
24 |
第4問 |
西洋近代思想と法律について |
8 |
9 |
24 |
第5問 |
民主社会について |
7 |
7 |
20 |
2006 |
第1問 |
青少年をとりまく社会環境 |
3 |
3 |
8 |
第2問 |
老いの価値と可能性 |
8 |
9 |
24 |
第3問 |
人間の力とその限界 |
8 |
9 |
24 |
第4問 |
伝統的な価値とニヒリズム |
8 |
9 |
24 |
第5問 |
「他者」について |
6 |
7 |
20 |
2005 |
第1問 |
「傲慢」であることについて |
8 |
9 |
25 |
第2問 |
近代西洋における自由をめぐる思索 |
7 |
9 |
25 |
第3問 |
男女関係に関する日本人の価値観 |
8 |
9 |
25 |
第4問 |
近現代における性的役割分担 |
8 |
9 |
25 |
2004 |
第1問 |
「善とは何か」 |
8 |
9 |
25 |
第2問 |
自然観と社会観 |
7 |
10 |
25 |
第3問 |
親鸞と仁斎の生き方 |
7 |
9 |
25 |
第4問 |
理性的人間観と生命倫理 |
8 |
9 |
25 |
過去17年間の平均点
2006 |
2005 |
2004 |
2003 |
2002 |
2001 |
2000 |
1999 |
1998 |
68.74点 |
67.03点 |
69.87点 |
60.66点 |
65.58点 |
68.13点 |
54.42点 |
60.09点 |
69.35点 |
1997 |
1996 |
1995 |
1994 |
1993 |
1992 |
1991 |
1990 |
? |
71.10点 |
64.92点 |
67.03点 |
62.75点 |
62.34点 |
60.88点 |
63.31点 |
71.88点 |
? |
【第1問】 青年期の心理
問1と問3は問題そのものは難しくなく、国語的な能力があれば解ける。ただし、問題形式を素早く把握できたかどうかが鍵となり、それが要した時間の差に現れるであろう。
【第2問】「怒り」について(源流思想)
昨年は周辺的な事項を問う問題が多かったが、今年はオーソドックスな内容に戻った。古代ギリシャに関する問題が4つと非常に多く,昨年はなかったイスラームの問題が復活したのも今年の特徴。問1の空欄補充問題は世界史的な知識が必要とされ、問3のプラトンと問4のアリストテレスについては深い理解が求められた。
【第3問】「和」について(日本思想)
全体的に昨年よりもつっこんだ知識が問われた。伊藤仁斎と契沖に関する問題は、日本史的な知識が必須である。問2の聖徳太子の事跡に関する問題は2003年度本試験第3問の問5、問7の和辻哲郎に関する問題は2005年度本試験第3問の問6と同じ内容を問うており、過去問演習をしていた生徒には有利であったと思われる。
【第4問】「法律」について(西洋近代思想)
問1のグロティウスに関する問題は、知らない受験生も多かったと思われる。問5〜7のヘーゲル、スペンサー、ベンサムについての問題はやや深い理解が問われた。用語を暗記するだけでは太刀打ちできず、思想の本質的な理解が必要である。
【第5問】民主社会と人権について(現代社会)
昨年に引き続き本文はA〜Cの3つに分かれている。問5の丸山真男については、その思想内容まで知っている受験生は少なかったと思われるが、日本思想に関する基本的な知識があれば消去法で正解できたはず。また常識的な推論で解くことができる問題が多かったのも今回の特徴である。Cの問6の南北格差の問題は、「現代社会」の出題形式に非常に近いものであった。
センター試験の倫理はここ2年は大問が5問で構成されていて、出題分野の順番も2年連続で同じでした。平均点は「現代社会」「政治・経済」と比べても高い傾向がここ数年続いています。しかし問題そのものが簡単なわけではありません。センター試験では知識問題に加えて、思想に関する理解力を問う問題、論理的思考力を問う問題、さらには抽象的な概念を具体例に即して考えられるかどうか、基本的な知識を踏まえた上で原典・資料などを正確に解釈できるかどうか、といった問題が出題されています。短期間の暗記学習だけではなかなか得点に結びつきにくいと言えるでしょう。ただし、思想のいわば「幹」にあたる部分さえ理解できれば、暗記すべき枝葉の部分にも関連性が出てきて、理解と得点力が飛躍的に向上するのもこの科目の特徴です。このためには、実際の問題に数多く当たり、様々な角度から思想に触れ、自分が本当にその思想を理解しているのかを客観的な基準によってチェックしていくのが良いでしょう。東進では2か月毎にセンター試験と同レベル・同傾向のセンタープレ入試を実施しています。短期間の詰め込みでは幹も枝葉もバラバラということになりかねません。長期にわたってこの模試を利用し、しっかりした木を育ててください。
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