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センター試験解答速報2016

1日目解答

地理歴史

世界史B 世界史A 日本史B 日本史A 地理B 地理A 

公民

現代社会 倫理 政治・経済 倫理、政治・経済

国語

国語 

英語

英語 リスニング 

2日目解答

理科1

物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 

数学1

数学I 数学I・数学A 

数学2

数学II 数学II・数学B 

理科2

物理 化学 生物 地学 
地理B
全体概観

大問数と設問数は昨年と変化なし。マーク数は減少した(−1)。現代世界の諸課題がなくなり、世界地誌が2題となった。 


大問数
減少 | 変化なし | 増加  
設問数
減少 | 変化なし | 増加  
マーク数
減少(-1) | 変化なし | 増加  
難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化  

分量については、大問6題構成が2006年以降連続している。設問数35は昨年と同じだが、マーク数は36から1個減って35となった。出題形式については、組合せ式の問題は12問(6択式9問、4択式3問)で昨年並み。例年同様に統計資料や図版が多用され、地理的な考え方や理解を問う問題が中心である。図版点数は前年から3点減少し25点で、そのうち写真は2点用いられた。出題内容については、「現代世界の諸課題」に関する大問がなくなり、代わりに地誌の大問が2題になった。第4問のヨーロッパ地誌は前年までと同様の総合的な地誌問題だが、第5問はインドと南アフリカ共和国の2か国を題材として、両者を対比させる新しい傾向の出題であり、難易度も高かった。第6問では、地形図の読図と長い会話文の読解を組合せた空欄補充問題が出題された。難易度については、どの大問にも受験生を迷わせる難問があり、十分な知識量と手際良い情報処理能力を求められた。大幅に難化した昨年並みではないだろうか。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2016

 

 

第1問

世界の自然環境と自然災害

6

6

17

第2問

世界の工業

6

6

17

第3問

都市・村落と生活文化

6

6

17

第4問

ヨーロッパ

6

6

17

第5問

インドと南アフリカ共和国

5

5

14

第6問

地域調査(岩手県北上市)

6

6

18

2015

 

 

第1問

世界の自然環境と自然災害

6

6

16

第2問

世界の農業

6

6

17

第3問

都市と村落

6

6

17

第4問

南アメリカ

6

6

17

第5問

現代世界の諸課題

5

6

16

第6問

地域調査(北海道富良野市)

6

6

17

2014

 

 

第1問

世界の自然環境

6

6

16

第2問

世界の資源と産業

6

6

17

第3問

都市と生活文化

6

6

17

第4問

西アジアとその周辺地域

6

6

17

第5問

現代世界の諸課題

5

6

16

第6問

地域調査(愛知県知多半島)

6

6

17

2013

 

 

第1問

世界の自然環境

6

6

16

第2問

産業構造の変化と産業の立地

6

6

18

第3問

都市と村落、生活文化

6

6

17

第4問

地中海地域

6

6

18

第5問

現代世界における人口および民族の諸問題

5

5

15

第6問

地域調査(徳島県鳴門市)

6

6

16

過去の平均点の推移

2015 2014 2013 2012 2011
58.59点 69.68点 61.88点 62.16点 66.40点

設問別分析

【第1問】世界の自然環境と自然災害
例年通り第1問は自然環境に関する出題であり、前年と同じように自然災害に関する設問が盛り込まれた。問1の地震の深さ別の震源分布図の判定はやや難。問2の火山と人間生活に関する文章の正誤判定は常識的に判断したい。問3の植生の高さに関する図表判定は新傾向であり、受験生を戸惑わせたかもしれないが、気候区分と対応させて考えたい。問4の湖沼の成因に関する問題はJとLの判別で迷うかもしれないが、地図上の位置から考えたい。問5の風向と降水量に関する図の判別組合せ問題は、風向の図の差異が微妙なものであり、難しい。問6は与えられた資料の意味をつかむことができれば標準的な内容であった。全体として例年より手ごわい大問であった。

【第2問】世界の工業
第2問は、例年、産業分野に当てられている。しかし「工業」に特定した出題例を探すと2007年まで遡らなければならない。問1のアメリカ合衆国とヨーロッパの工業地域に関する文章判定は、具体的な工業都市に関する地誌的な知識が必要。問2の工業立地に関する文章判定は頻出事項であり平易。問3は工業に関連した3つの指標についての図表判定で、中国の評価が決め手となるだろう。問4の工業と国家経済に関する統計判定は標準的だが、受験生は迷いやすい。問5の国・地域間の貿易額に関する図表の判定問題は、2009年度地理B本試験第5問問6などのように、過去には同形式の出題が頻出であった。問6は工業化と産業地域に関する文章の正誤判定。最近の教科書の記述に基づいた出題である。本年の中では標準的な大問であった。

【第3問】都市・村落と生活文化
第3問は連続して集落に関する問題が出題されている。問1の都市人口率に関するグラフ判定は、南アメリカ諸国の都市人口比率が比較的高位であることを知っておかなければ選びにくいだろう。問2の都市の機能に関する文章正誤判定も、地誌的な知識が直接問われているが標準的。問3の都市の人口特性に関する図表判定は、イとウの都心部の比較が決め手。問4の砺波平野の散村に関する文章判定は平易。選択肢3と4が「海外の一般的な特徴」への言及である点に注意。問5の伝統的住居に関する文章判定は易しい。この内容は頻出である。問6の南アジアの宗教別人口割合の統計判定も基本的。やや易しい大問であった。


【第4問】ヨーロッパ
地誌を扱う大問の地域として、ヨーロッパがとりあげられるのは、2010年以来である(2013年には地中海地域についての出題あり)。比較的頻度の高い地域といえる。問1の自然環境と土地利用に関する文章判定や、問2の都市に関する文章判定問題では、いずれも地誌についての丁寧な学習が求められている。問2のJはデュッセルドルフ。問3の農業に関する統計地図の判別は難しい。それぞれの指標の意味を農業地域区分と対応させて考えたい。問4の失業率に関する統計判定は、新傾向の題材であるうえに難問といえよう。出題の意図をどこまで読み取れるか。問5の地域間格差に関する文章の組合せ問題は、問1や問2と同様に地誌学習がしっかりできている受験生にとっては標準的な内容である。問6の地域経済に関する文章判定は、誤文が判断しづらい。やや難しい大問であった。

【第5問】インドと南アフリカ共和国
前年までの第5問には、「現代世界の諸課題」という総合問題が置かれていたが、本年は。インドと南アフリカ共和国という2つの国を対比させる新傾向の地誌問題が出題された。これは、世界地誌を重視する新課程のカリキュラムに対応した変更と考えられる。問1の自然環境と農業に関する問題は標準的。一般的に南アフリカ共和国の農業地域を詳しく学習することは少ないが、誤文が判定しやすかった。問2のBRICS諸国の経済に関する統計判定は易しい。問3の鉱産資源に関する問題は難しい。クロムとすずの判定で悩んだ受験生は多かったのではないか。問4のイギリスとの関係に関する問題もやや難しい。問題の発想は面白いが、高校生がイギリス連邦について詳しく学ぶチャンスは少ないので、やや難しい出題といえる。問5の両国の社会に関する文章判定は標準的。配点は低いものの難易度の高い大問であった。


【第6問】地域調査(岩手県北上市)
例年通り地理A(第5問)との共通問題である。問1の地形図と鳥瞰図の判定はやさしい。「山地が左右どちら側に見えるか」を考える。問2の会話文空欄補充の組合せは全く新しいタイプの問題である。地形図の読図をしっかり行なうことはもちろん、空欄の前後だけでなく会話文全体を丁寧に読まないと判断できない。時間との関係で焦った受験生もいたのではないだろうか。問3の景観写真の判定問題ではAとBで多少迷う。問4の工業の変遷に関する統計判定では、チとツの判別がポイント。北上市に隣接する金ヶ崎町には1993年に開業したトヨタの自動車工場がある。問5の統計地図判定では、マとムの判別に注意したい。他市町村への通勤・通学は、隣接市町村が大半を占めるはず。問6の統計地図の利用に関する文章判定は基本的で、過去に類題も多い。例年の地域調査の大問と比較すると、やや難しい大問であった。