全体概観
現代文は設問数・問の形式ともほぼ、例年通りの出題。古文は江戸の擬古物語が出題された。和歌に関する説明問題など2013年までの傾向に戻った。漢文は珍しく日本人の漢文であった。
大問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 |
減少(-1) | 変化なし | 増加 |
マーク数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 |
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問数4題、各大問の配点50点。漢文で設問数が1つ減ったが、マーク数は変わらない。
第1問の評論は、2年続いた現代文化を問う問題から、かなり硬質な科学論に変化した。文章量は昨年度より増加した。内容的には、重力波などかなり専門的な話題について述べられており、読解には手間取ると思われる。問1の漢字問題は、昨年よりやや難化。問2〜4は標準的な説明問題。問5は昨年の生徒同士の議論の中から正解を選ぶ問題がなくなり、一般的な理由説明問題に戻ったが、文章後半の読解と絡み、手間取ると思われる。問6は昨年同様に適当でないものを選ぶ問題であり、注意が必要である。
第2問の小説は4年連続で女流作家の作品が出典となった。ページ数は減ったが、文字数はほぼ同じで、設問数・形式は昨年通りであった。ただ、書かれた年代が100年以上前であり、場面状況を正確に追い、心情を読み取るのがやや難しかったかもしれない。問1は辞書に載った定義に則って解答する問題で例年と同様。問2・問3の説明問題も標準的レベル。問4の説明問題は、選択肢が長く、心情にも踏み込んだ問題。問5は本文に傍線部が無く、選択肢の内容が本文のどの箇所を問うているかの確認に手間取るため、ここで時間を消費した受験生が多かったと思われる。問6は適当でないものを2つ選ぶ出題であった。
第3問の古文は、センター試験で、もっともよく出る物語類で、昨年の説話に比べるとやや読解力を要するが、場面はオーソドックスな恋の始まりであり複雑な内容ではない。設問は問1は、3問ともほぼ単語の知識の問題。問2は、基礎的な助動詞の意味の問題で、昨年に引き続き、5ヶ所の組み合わせで答える問題。問5の和歌の問題が復活し、やや難しくみえるが、表現に沿って考えれば、正解は比較的容易に求められる。毎年出題される問6の合致問題は、登場人物に関する説明という形式で出題された。
第4問の漢文は、日本人の漢文という目新しさはあるが、内容的にはここ数年と同様「随筆」的な出題であった。日本人の漢文は、追試験では2012年度に、今回の新井白石と同じ江戸時代の儒者・詩人である頼山陽の文章が出ているが、本試験では初めてである。設問形式は、語の読み、語句の意味、返り点と書き下し文の組み合わせ、内容説明・理由説明等、例年の傾向と大差がなかった。
国語全体としては、難化。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2017 |
第1問 |
評論:小林傳司「科学コミュニケーション」 |
6 |
11 |
50 |
第2問 |
小説:野上弥生子「秋の一日」 |
6 |
9 |
50 |
|
第3問 |
古文:『木草物語』 |
6 |
8 |
50 |
|
第4問 |
漢文:新井白石『白石先生遺文』 |
6 |
8 |
50 |
|
2016 |
第1問 |
評論: 土井隆義『キャラ化する/される子どもたち』 |
6 |
11 |
50 |
第2問 |
小説:佐多稲子『三等車』 |
6 |
9 |
50 |
|
第3問 |
古文:『今昔物語集』 |
6 |
8 |
50 |
|
第4問 |
漢文:盧文弨『抱経堂文集』 |
7 |
8 |
50 |
|
2015 |
第1問 |
評論:佐々木敦『未知との遭遇』 |
6 |
11 |
50 |
第2問 |
小説:小池昌代『石を愛でる人』 |
6 |
9 |
50 |
|
第3問 |
古文:『夢の通ひ路物語』 |
6 |
8 |
50 |
|
第4問 |
漢文:程敏政「篁墩文集」 |
7 |
9 |
50 |
|
2014 |
第1問 |
評論:斎藤希史『漢文脈と近代日本』 |
6 |
11 |
50 |
第2問 |
小説:岡本かの子「快走」 |
6 |
9 |
50 |
|
第3問 |
古文:『源氏物語』(夕霧の巻) |
6 |
8 |
50 |
|
第4問 |
漢文:陸樹声『陸文定公集』 |
7 |
8 |
50 |
過去の平均点の推移
2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 |
---|---|---|---|---|
129.39点 | 119.22点 | 98.67点 | 101.04点 | 117.95点 |
設問別分析