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国語

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日本史A
全体概観

経済史の比重が大幅に増加。経済的現象の理解度が「カギ」を握る。 


大問数
減少 | 変化なし | 増加  
設問数
減少 | 変化なし | 増加  
マーク数
減少 | 変化なし | 増加  
難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化  

大問数6題、小問数34問は昨年度と同様。
特に近年増加傾向にあった地図・図版・グラフ・表を使用した問題は今年度も出題された。例年通り初見史料の出題もあり、全体的に通史学習で習得した知識を応用させて個々の史実を考察させる傾向が強まった。
出題範囲は例年通り幕末維新期・明治時代から戦後史までの近現代史だった。現代史の場合、過去の出題範囲からみて1990年代までの出題も考えられたが、今年度は1970年代までの出題にとどまった。
出題内容については政治・外交・経済・文化などの主要テーマのなかでも、今年度は経済史の出題が大幅に増加したことが特徴的であり、近現代史の経済的現象を詳細まで理解していないと正答にたどりつくことが難しい問題もみられた。新課程の教科書で、高度経済成長期の説明がより肉厚になったことも無関係ではないだろう。また、(1)第1問で2011年に国内ではじめてユネスコの世界記憶遺産に登録された炭鉱労働者山本作兵衛の絵画が出題されたこと、(2)第4問で現在の日本がかかえる人口問題が出題されたこと、(3)第5問(日本史B第6問との共通問題)で女流作家として活躍した林芙美子の人生について出題されたこと、などからは、時事的なことに関心をもつことの大切さを受験生に認知させようとする出題者の意図を感じることができる。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2015

 

 

第1問

日本の産業革命に関する調査報告

3

3

8

第2問

幕末維新期の政治・社会

6

6

18

第3問

明治期の立法機関

4

4

12

第4問

近代の人口調査

5

5

15

第5問

林芙美子とその時代

8

8

23

第6問

第一次世界大戦期から高度経済成長期にかけての日本の商社

8

8

24

2014

 

 

第1問

メディアの歴史

3

3

8

第2問

近世後期から明治初期の政治・社会

6

6

18

第3問

明治期の租税制度

4

4

12

第4問

明治期の宗教と社会

5

5

15

第5問

手塚治虫とその時代

8

8

23

第6問

1920年代以降の日本の政治・外交

8

8

24

2013

 

 

第1問

東京・上野の歴史

3

3

8

第2問

幕末から明治初期の政治・外交

6

6

18

第3問

明治期における特許制度

4

4

12

第4問

明治期の歴史学の展開

5

5

15

第5問

20世紀の日本における軍事と政治・経済・社会とのかかわり

8

8

23

第6問

昭和期の社会・文化

8

8

24

2012

 

 

第1問

地域の歴史と人々

3

3

8

第2問

近世後期から明治前期の政治・経済・社会

6

6

18

第3問

明治期における日本の領土とその支配

4

4

12

第4問

幕末期以降の貿易・商社

5

5

15

第5問

市川房枝とその時代

8

8

23

第6問

近現代の社会・文化

8

8

24


過去の平均点の推移

2014 2013 2012 2011 2010
47.70点 41.64点 48.74点 52.01点 48.42点

設問別分析
第1問 日本の産業革命に関する調査報告(会話文)
第1問は昨年同様、会話文形式で出題された。設問は3問だが、選択肢文も長めで、「やや難」の印象を受けただろう。
明治時代の産業革命を中心とした経済史を軸に、内容は政治・社会と多方面におよんだ。
問2では明治時代の紡績業から戦後のニクソン=ショックまで選択肢文に含まれ、一つのテーマを大局的に思考できないと確実に得点できない問題だった。
問3の年代整序(6択)問題は、IIで『高橋フサ日記』という受験生にとって初見のものが出題されたが、I・IIIの出典から時期が判断できるようになっている。
特筆すべきは、2011年5月に国内で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録された山本作兵衛の『筑豊炭坑絵巻』が掲載されたことだ。
日ごろから時事的な出来事に気を配る必要があることを再認識させる問題だったといえる。

第2問 幕末維新期の政治・社会
幕末維新期に特化した問題が出題された。Bは初見史料が出題されたので戸惑いもあっただろう。
問2・問3は日米修好通商条約や開港後の経済に関するもので、内容的にも定番といえ、難易度も標準だった。後半は初見史料が出題されたので戸惑いもあっただろう。
問4の史料読み取り問題は冷静に分析する力が求められ、問5では維新政府が推進した政策が理解できていれば問題ないだろう。
問6の薩摩藩の動向に関する年代整序(6択)問題は、史実を抽象化した選択肢文を具体化する作業ができたかどうかで明暗が別れただろう。

第3問 明治期の立法機関
日本史B(第5問)との共通問題。2013年度の「明治期の特許制度」と比べると、昨年度の「明治期の租税制度」や今年度の「明治期の立法機関」は、受験生にとって取り組みやすいテーマだっただろう。
設問は全体的に平易。昨年度はグラフを読みとる設問があったが、今年度は出題されなかったので時間をとられることもなかっただろう。
問4 Xは史料中の「私設会社が錯綜」から判断できるが、史料を読みとらなくても既習の知識で判断できる選択肢文だった。

第4問 近代の人口調査
人口・世帯・産業構造などについて政府が実施する国勢調査をテーマに、明治時代末期から昭和時代初期にかけて、政治・外交・社会・経済を中心とした問題であった。
現在の日本で「人口減社会」や将来の「自治体消滅」が危惧されるなか、それらを受験生に強く意識させた問題といえよう。
問3や問4の選択肢文には政治・外交・社会・経済の複数のテーマが複雑に入り混じっており、史実の「タテ」と「ヨコ」の関係を考察する柔軟性が求められた問題だった。
問5ではセンター試験で定番となっている表が使用された。ある特定の史実と人口の変動に関する数値とを冷静に合致させれば容易に正答にたどり着けただろう。

第5問 作家林芙美子とその時代(昭和戦前・戦後初期の社会・外交・文化)
日本史B(第6問)との共通問題。昨年度の「漫画家手塚治虫」に対し、今年度取り上げられた「作家林芙美子」は受験生にとってなじみの薄い人物だっただろう。設問も、やや細かい知識を問うものが目立った。
問5 aの「宣戦布告」「決意を示した」は、日中戦争を正確に理解していなければ判断しにくい選択肢文だった。 
問6 類似した地図は2013年度でも出題されており、その時のYもシンガポールの位置を問う選択肢文であったことから、ほぼ同じ問題といってよいものだった。過去問対策をしっかりやっていた受験生は有利だっただろう。
問7 dは憲法制定過程に関する選択肢文。やや細かい選択肢文だが、憲法改正が話題になっている今日において時事的要素をもったものといえる。昨年度に続き(2014年度第5問では、消費増税に関連して明治期の租税制度が取り上げられた)、時事問題と関係の深いテーマを取り上げる傾向があらわれていた。

第6問 第一次世界大戦期から高度経済成長期にかけての日本の商社
商社にスポットをあて、大正期から1970年代の経済史を中心とした問題であった。広範囲な時代に及んだだけに問題文はA〜Ⅽまで用意され、問題数も昨年同様8問と、第5問とともに、大問6題中最大だった。
それぞれ、Aでは第一次世界大戦期と1930年代の日本経済、Bでは太平洋戦争期の戦時経済、Ⅽでは高度経済成長期がテーマとなっており、難易度も他に比べて高い問題だった。
特に戦時経済は受験生にとって盲点となっている箇所だけに、大きな得点差が生じたことが予想される。問5ではおもに戦時期の軍需産業と繊維産業を折れ線グラフで比較させていた。
経済史特有の詳細な数値が掲載された折れ線グラフと円グラフが使用されたことは、経済に関する知識を深く洞察させようとする出題者の意図を垣間見ることができる。