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センター試験 1日目解答

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現代社会 倫理 政治・経済 倫理、政治・経済

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センター試験 2日目解答

理科1

物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 

数学1

数学I 数学I・数学A 

数学2

数学II 数学II・数学B 

理科2

物理 化学 生物 地学 

全体概観

近現代経済史が大幅増 


難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化  


大問数5題、設問数32問はともに昨年度と同じであり、日本史Bとの共通問題も配置に変更がなかっただけに、過去問研究に力を入れた受験生にとってみれば比較的解答しやすかったと思われる。全体的に図版や絵画が増加し、グラフ・表の読み取り問題も昨年度の1題から2題に増加した。その一方で近現代の経済史・産業史、それに付随する労働運動史の出題が大幅に増加しただけに「やや難」の印象を受けたであろう。
出題形式は、例年通り空欄補充問題・正誤問題・年代整序問題・正誤・正文判定(組合せ)問題がバランス良く出題されていた。絵画・図版を使用した問題が増加し、地図をともなう出題数は昨年通りであった。図版では『妖怪ウォッチ全妖怪大百科』を出典として、妖怪ウォッチのキャラクターで人気のムダヅカイとロボニャンや、代表作「ゲゲゲの鬼太郎」を世に出した、2015年11月に亡くなったマンガ家水木しげるの『図説妖怪大図鑑』を出典として「新ぬりかべ」と「新ぬらりひょん」が登場した。社会的に大きな話題になった出来事を題材としていることから、流動的な社会において出題者が、常にアンテナを立てて社会に関心をもつ重要性を受験生に訴えかけているといっていいだろう。
出題範囲は近現代史重視の日本史Aの傾向が踏襲され、幕末・明治時代から戦後史は1970年代まで、選択肢文の内容を加味すればバブル経済や消費税に関連する1980年代末から1990年代初頭まで内容まで広範囲に出題されていた。
分野は政治・外交の主要テーマに加え、明治初期の経済・産業革命・金解禁・高度経済成長といった、近現代の主要頻出テーマである社会経済史の分量が大幅に増加した。経済の浮沈が社会にどのような影響を与えたのかを問う「思考力重視」の出題が目立った。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2017

第1問

妖怪と現代科学(会話文)

6

6

20

第2問

幕末から明治期の大坂(大阪)

4

4

12

第3問

政治家 三島通庸

6

6

19

第4問

近現代の公園

8

8

24

第5問

昭和期の経済・社会

8

8

25

2016

第1問

近代日本における洋装(会話文)

6

6

20

第2問

明治期の地方制度

4

4

12

第3問

近代日本における動物と人間との関係

6

6

19

第4問

日本とオリンピックとのかかわり

8

8

24

第5問

大正期以降の日本における人々の労働

8

8

25

2015

第1問

日本の産業革命に関する調査報告

3

3

8

第2問

幕末維新期の政治・社会

6

6

18

第3問

明治期の立法機関

4

4

12

第4問

近代の人口調査

5

5

15

第5問

林芙美子とその時代

8

8

23

第6問

第一次世界大戦期から高度経済成長期にかけての日本の商社

8

8

24

2014

第1問

メディアの歴史

3

3

8

第2問

近世後期から明治初期の政治・社会

6

6

18

第3問

明治期の租税制度

4

4

12

第4問

明治期の宗教と社会

5

5

15

第5問

手塚治虫とその時代

8

8

23

第6問

1920年代以降の日本の政治・外交

8

8

24

過去の平均点の推移

2016 2015 2014 2013 2012
40.81点 45.64点 47.70点 41.64点 48.74点

設問別分析

【第1問】妖怪と現代科学(会話文)
第1問は昨年同様、会話文形式で出題された。その内容は特筆すべきもので「妖怪」がテーマになっていた。「妖怪」と「現代科学の発達」と一見、相反する内容の話題に相関性を見出す内容となっている。とくに最後の理子の「自分で考えて判断する力をつけるためにも、やっぱり勉強することが大事よね」との発言は、昨今の教育改革で文科省が打ち出している方針を端的に表現していた。問2は1950年代後半から1960年代初頭と比較的間隔の狭い年代整序問題(6択)であったが、内閣の事績の「流れ」をしっかり把握できていれば問題なかったであろう。問3は史料読み取りの正文判定問題(組合せ、4文)であった。史料2の「赤き妖怪」を「共産主義勢力」のソ連と判断できなかったとしても、日独伊三国防共協定のソ連を仮想敵国とした性質から判断したい。問4では水木しげるの「新ぬりかべ」と「新ぬらりひょん」や妖怪ウォッチの「ムダヅカイ」と「ロボニャン」が登場した。それぞれの妖怪が登場する時期の社会経済を問う内容であったが、イラストの説明文を冷静に読み取れば正答にたどりつくことはできるだろう。文化史や戦後経済史が中心であっただけに、受験生の間で得点差が生じやすい問題であったといえよう。

【第2問】幕末から明治期の大坂(大阪)
日本史B(第5問)との共通問題。かつては、2013年度の「明治期の特許制度」・2014年度の「明治期の租税制度」のように、テーマ的に難易度の高いものが目立ったが、2015年度の「明治期の立法機関」、2016年度の「明治期の地方制度」に続き、取り組みやすいテーマ(大坂(大阪))が取りあげられた。かつてはグラフ・表を用いた設問がみられたが、昨年に続き史料や図版を用いた問題が1問も出題されなかった。設問数が少なかったため、取り組みやすかった。
問3 昨年は「戊辰戦争」に下線が引かれ、関連事項が問われたが、今年は「大久保利通」に関する設問が出題された。近現代の設問では、設問の対象が「○○世紀」と明記されず、著名な人物・内閣・出来事などに下線が引かれ、細かい事項が問われることがある。本問も、よく読まなければミスをしやすい選択肢が並んでいた。
問4 政商や実業家に関する問題。やや細かい知識を問う設問となっているが、現代の日本経済を牽引する企業集団の名称も並んでおり、日常から現代的関心をもって学習に取り組んでいれば、正答を選択できただろう。

【第3問】政治家 三島通庸
第3問は明治期に活躍した政治家三島通庸を題材に、幕末から明治期の政治・外交・文化が中心に出題されていた。「三島通庸」といえば真っ先に福島事件や加波山事件などの激化事件を連想した受験生が多かったと思われるが、三島から派生し明治時代の美術史や条約改正を主題とした内容もみられた。問2や問5の選択肢文には「不換紙幣」や「インフレーション」といった経済用語がみられ、ともにそれぞれ「兌換紙幣」・「デフレーション」といった対義語をしっかり理解する必要があった。なかでも問5は用語としては登場しない松方財政と自由民権運動の関連性を問う、洞察力を試す内容であった。問3は明治期に活躍した洋画家高橋由一の作品をそのまま選択させる図版問題で、いずれの絵画も教科書や資料集には必ず掲載されているので、ここでの失点は絶対に避けたいところだ。問6は条約改正事業を問う年代整序問題(6択)で、その内容は条約改正担当者が担当した時期から判断できるオーソドックスな内容であったので受験生の正答率は高かったことが予想される。

【第4問】近現代の公園
日本史B(第6問)との共通問題。2014年度では「漫画家手塚治虫」、2015年度では「作家林芙美子」と、人物を取りあげた問題が定番となっていたが、2016年度では「オリンピック」、2017年度では「近現代の公園」が取りあげられた。テーマ史としては定番とはいえないが、日常生活の中にも「歴史」があることを認識させようとする意図が、出題者にあったと考えられる。
問2 戦前・戦後に大きくわけて考察したい。新聞記事は、昨年の「川端康成」「築地小劇場」を図版から見つけ出さなければならない形式と異なり、いずれも記事中のキーワードがタイトルとなっているため、苦労することはなかっただろう。
問4 「鉄鉱石」と石炭が区別できているかを問う問題でもあるので、やや細かい。
問6 Y 農協はやや細かい知識であるが、TPPなどに関連して、報道などで耳にすることが多かっただろう。多くの教科書に掲載されているわけではないが、時事的要素の強い選択肢となっている。

【第5問】昭和期の経済・社会
日本史Aは昨年同様、第5問が最終問題であった。
第5問は昭和期の経済・社会を主題に、労働問題・基地問題・高齢化社会等、戦後日本が抱えたさまざまな問題について多角的視野から考察させる問題であり、しかも難易度の高い問題もみられた。安倍首相が進めるアベノミクスやオバマ大統領が現職アメリカ大統領として初めて広島を訪問した出来事に関連付けた問題といってもよいだろう。参政権をもつ、またはまもなく参政権をもつ若い世代に、社会的関心をもつことの重要性を喚起させる意義のある出題であった。問1はプロレタリア文学やマルクス主義について問う内容で受験生の解答も分散したことが予想される。問3の正誤判定問題(組合せ、2文)は「代用品利用」や「耐久消費財」といった用語を当時の時代背景としっかりリンクさせて理解しているかを問うものであった。問8のグラフの数値を読み取らせる正誤判定問題(組合せ、2文)では、高齢化が進む中で膨れ上がる社会保障関係費について問う時事的な出題であった。