茗荷谷校担任助手三年の伊藤誠道です!皆さん、こんにちは!
今回は、
共通テストレベルの土台を固めた上で、秋以降に難関大の二次試験レベルへとステップアップするための、理系科目(数学・物理・化学)の学習法、特に思考の切り替え
について、僕なりの考えをお話しします!
①:『なぜ?』を徹底する演繹的アプローチ(〜共通テストレベル)
まず大前提として、受験勉強の土台は演繹的な思考で築き上げられます。
演繹的とは、基本的な原理・原則から論理的に結論を導き出す考え方です。
夏までに(あるいは今も)取り組んでいる、教科書レベルの知識の習得がこれにあたります。
- この公式は、なぜこの形をしているのか?
- どうすれば、この公式を自力で導出(証明)できるか?
- この公式は、具体的に「いつ」「どんな状況で」使うのが最適なのか?
このように、一つ一つの知識に対して「なぜ?」と問いかけ、その本質的な理屈や再現性を深く考察することが、共通テストレベルの問題で高得点を取るための盤石な土台となります。
例えば数学で、ただ三角関数の公式を暗記するのではなく、「加法定理からすべて導出できる」という根本を理解していれば、忘れても怖くありません。
物理で、運動方程式 ma=Fをただの式として覚えるのではなく、「力と加速度の関係性を記述する基本法則だ」と理解していれば、様々な場面で応用が利きます。
このように洞察力を深める作業が、幅広い範囲から知識を引き出す力を養います。
②:『どう解くか?』を蓄積する経験的アプローチ(二次試験レベル)
しかし、秋以降に二次試験レベルの難問に挑むとき、この「なぜ?」から考える演繹的アプローチだけでは限界が訪れます。
なぜなら、難問は複数の単元の知識が複雑に絡み合っており、そのすべてを試験時間内に「なぜ?」から組み立て直すのは、時間がかかりすぎるからです。
もちろん、理屈を完璧に理解することは理想ですが、一つの問題に固執しすぎて前に進めなくなってしまいます。
そこで必要になるのが、経験的アプローチへの思考の転換です。
これは、たくさんの問題演習を通して解法のパターンを自分の中に蓄積していく作業です。
難問に対峙したときの思考フローは、以下のようになります。
- まず、問題文の条件を丁寧に整理する(図を書く、数式を立てる)。
- その条件から、「この問題は、どの単元とどの単元が組み合わさっているか?」を見抜く。(例:数学なら「微分と図形と方程式」、化学なら「化学平衡と酸・塩基」など)
- 自分の解法の引き出しを開け、使えそうな知識・パターンをリストアップする。
- 最も可能性の高いパターンから順番に当てはめていき、自分が「見たことのある」形に帰着させる。
つまり、共通テストレベルまでは原理から論理を組み立てるのが主だったのに対し、二次試験レベルでは問題からパターンを逆引きするという発想が非常に重要になります。
この経験をひたすら積んでいくことで、どんな初見の問題でも「ああ、これはあのパターンを応用すれば解けるな」と瞬時に判断できる状態を目指せます。
本番で点を取るための『発想の転換』
この2つのアプローチについて、さらに重要な意識改革の話をします。それは、問題集を解くときと試験本番で解くときの頭の使い方を意図的に変えることです。
(A)問題集で演習するとき:じっくりと理屈を掘り下げる姿勢
このときは、時間をかけても構いません。解けなかった問題に対し、「なぜこの理屈が成り立つのか」「どうすればこの発想に至るのか」を深く考察(①)し、同時に「この問題のパターンを解法として蓄積(②)」しましょう。ここでは、いわば学問的な探求心が大切です。
(B)試験本番で解くとき:得点するために最善手を選ぶ姿勢
しかし、試験が始まった瞬間、その学問的な探求心は一旦脇に置かなければなりません。試験時間内に、問題の背後にある理屈を一から考察している余裕はないからです。
このとき持つべきなのは、メタ的な視点です。
メタ的な視点とは、「どうせ受験で使える道具(知識・公式)は限られている。この範囲で聞かれている以上、あの道具かこの道具しか使えないはずだ」と、問題を上から俯瞰する視点のことです。
試験本番では、「この問題の根本原理は何か?」と考えるのではなく、 「この問題文のキーワードから、自分の持っているどの道具(解法パターン)が使えるか?」 という発想に切り替えなければなりません。
今までの知識や考え方のうち、どれを使えば最も早く正解にたどり着けるかを選ぶ選択と決断の作業が、試験本番で求められる力となります。
最後に
理系科目の成績を秋以降に飛躍させるためには、今回述べたような思考の切り替えが不可欠です。
- 土台(〜共通テスト): 「なぜ?」を深掘りし、原理原則を理解する演繹的な力を養う。
- 応用(二次試験): 「どう解くか?」の経験を積み、解法パターンを蓄積する経験的な力を磨く。
- 本番(試験): 演習時の深い探求から、本番では得点するための実戦的な思考に切り替え、限られた道具から最適解を引き出すメタ的な視点を持つ。
この2段階のアプローチと本番での意識改革を実践することで、本番で点が取れる思考になります。難易度の高い問題にぶつかることも増える時期ですが、それは次のレベルに進もうとしている証拠です!
一つ一つの経験を自分の力に変えて、この勝負の秋を乗り越えていきましょう!心から応援しています!!
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