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大学について

大学進学にかかるお金

CONTENTS

受験にかかる費用

 受験にあたってまず必要なのは、願書(募集要項)の取り寄せです。願書は、多くの国公立大学・私立大学から9月から12月に配布されます。国公立大学の願書は無料ですが、私立大学の願書は無料の大学と有料(数百円~千円程度)の大学があります。無料の場合でも、郵送手数料または直接大学へ取りに行くための交通費がかかることになります。


 近年ではインターネット出願を導入する大学が増えており、この場合は基本的に願書も大学のサイトからダウンロードできます。また、紙媒体の願書についてはオープンキャンパスや学校説明会に参加すると無料でもらえる場合もあります。一部の私立大学の願書については、大手書店で販売されています。

 なお、共通テストの結果によっては出願校を変更する場合があるので、第2・第3志望の国公立大学についても願書を取り寄せておくとよいでしょう。私立大学についても、出願締切間際になって慌てることのないよう、受験する可能性のある大学については、あらかじめ願書をすべて入手しておくようにしましょう。

 入学検定料(受験料)ですが、共通テストが1万8000円(3教科以上受験の場合)、国公立大学の前期・後期日程が合計3万4000円です。私立大学の共通テスト利用方式は約1万5000円、個別方式は医学部医学科を除き、約3万5000円が主流です。
 例えば、標準的な国公立大学志願者の場合、共通テスト、国公立大学の前期・後期日程、私立大学3校(共通テスト利用1校、個別方式2校)を受験すると、合計して約14万円の受験料が必要となります。

 ただし、同じ私立大学内で併願する場合や、同じ学部を複数の方式で受験する場合、受験料を減免する大学が増えていますので、詳しくは各大学のホームページなどで確認しましょう。

 ここで見落としがちなのが、自宅から離れた場所にある大学を受験する場合の試験会場までの交通費や宿泊費です。
また、宿泊先の確保も重要です。地域によっては立地の良いホテルが早々に満室になることもありますので、費用だけでなく宿泊先の手配も早めにするようにしましょう。

 中には大学の所在地以外の主要都市などで学外の試験会場を設けて入学試験を実施する「地方会場入試」を実施している大学もあるので、自宅の近くで受験可能な試験会場があれば、それを利用するのもよいでしょう。 入試料金

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国公立大学と私立大学の
学費の違い

 国公立大学が私立大学より学費が安いのは事実ですが、その差は年々縮まってきています。国立大学と私立大学を比較すると1975年は約5倍の違いがあったものの、1980年代には約2倍、2021年度時点で約1・7倍と、現在は保護者世代ほどの大きな開きはなくなっています。


 また、1年次の授業料と入学金を加えた初年度納付金を比較した場合、その差は、2021年度時点で1・66倍とほぼ同じです。

 国立大学の授業料は、学部によらず共通です。(金額は、2018年度までは全国立大学が文部科学省の定める標準額でしたが、2019年度から東京工業大学が9万9600円、東京芸術大学が10万7160円授業料を引き上げました。2020年度は千葉大学、東京医科歯科大学、一橋大学が10万7160円引き上げました)

 公立大学では、入学金について設置する自治体(地方公共団体)の出身者を優遇している場合も多く、国立大学よりも割安になることもあります。 入試料金変遷 国公立納付

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大学1年目の学費

 私立大学の学費は国公立大学と異なり、同じ大学でも学部系統によって大きく異なります。文科系の平均額は約119万円で国公立大学の1.5倍ですが、理科系では約157万円で1.9倍となり、医歯系については約489万円で約6.0倍もの開きがあります。


 しかし、医・歯・薬学部では近年、学費を値下げするケースも見られます。これには、近年の経済不安で家庭の経済状況も厳しくなり、志願者数が減少したことなどが背景にあります。

 また、欧米諸国の大学では入学金が存在せず、日本の大学の入学金が高すぎるとの批判もあるので、今後入学金の引き下げ、ないし廃止が広がっていく可能性はあります。ただし、各大学で状況は異なります。 私立納付

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自宅通学と1人暮らしの
生活費

 学生生活に必要な経費は学費だけではありません。自宅通学か1人暮らしかでも、支出は変わってきます。では、自宅通学者と1人暮らしの学生について比較してみましょう。


 国公立大学生・私立大学生に関わらず、1人暮らしの学生は、自宅生の3倍近くの生活費を必要としており、その差額は主に食費、住居・光熱費です。収入を見ると、家庭からの仕送りが大半を占めますが、次いで奨学金もしくはアルバイトとなっていることが見て取れます。 支出入  1986年以降における首都圏の私立大学生の仕送り月額を見ると、ピークの1995年に比べて2021年では、3万7300円減っています。また、アルバイトに従事する学生も多く、アルバイトをしないと修学が不自由もしくは困難な学生は2021年度は31.5%となっています。 アルバイト  学費が増加傾向にある一方で、各家庭の経済状況が悪化傾向にあったところにコロナ禍があり、アルバイト収入も見込めなくなっていることから、学生の生活は苦しい状況が続いています。

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奨学金について

 受験生の保護者世代にとって、奨学金は学業成績優秀者のみが利用するという印象が強いかもしれません。しかし、今や最も利用者の多い日本学生支援機構の奨学金(貸与型)だけで日本の大学生の2.0人に1人が利用しています(2020年度)。


 奨学金は、大学卒業後に返済義務のある「貸与型」と返済の必要がない「給付型」に分類されます。従来は「貸与型」が主流でしたが、近年は「給付型」の奨学金を導入する大学が増えてきています。中には受験前に申請して予約採用されてから、合格後に正式に奨学生として採用され、奨学金が給付される制度もあります。

 ただし、これらの制度は単年度のみの給付であったり、一定以上の学業成績を修めることが継続需給の条件になっている場合があるので、受給資格については必ず各大学のホームページや担当窓口で確認するようにしてください。以下の表は、日本学生支援機構の奨学金制度の概要をまとめたものです。 奨学金  第一種(無利子)と第二種(有利子)はいずれも「貸与型」です。第一種は国公立大学か私立大学か、自宅生か自宅外生かで選択する貸与額が決められています。一方、第二種では、貸与額を2~12万円から選ぶことができます。いずれにしても貸与型の奨学金は、それがある種の「借金」であることを十分に理解し、返済計画を立てた上で申し込む必要があります。

 2020年度から、大学を含む高等教育における教育費負担軽減のため、一般に「大学無償化」と呼ばれている新制度が始まりました。この制度は、家庭の年収や成績など一定の条件を満たした学生に対して支援を行うもので、授業料等の減免に加えて、生活費として月額最大7万5800円の給付金を支給するものです。授業料等の減免額、給付型奨学金の支給額は、家計の状況や通う大学が国公立大学か私立大学かによって変動するほか、給付型奨学金については、自宅から学校に通うのか、自宅外(寮や下宿等)から通うのかによっても違ってきます。

 たとえば、非課税世帯で国立大学に入学し、自宅から通学する場合は、入学金と授業料が全額免除となり、さらに毎月2万9200円の返還不要の奨学金を受け取ることができます。自分がこの制度の対象となっているのかは、JASSOのホームページの「進学資金シミュレーター」から確認できます。

 このほか、国や銀行が扱っている教育ローンや、大学が民間企業と提携して実施する学資ローンもあり、一定の条件を満たすことで利用できます。給付型の奨学金ないし授業料免除の制度の有無や内容については、各大学のホームページや担当窓口で確認しましょう。 奨学金2 支援

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お金の用語

◆受験料割引制度

 大学によってさまざまですが、多いのは「複数回受験による受験割引」です。
 例えば拓殖大学では、一般選抜を1回受験する際の入学検定料は3万2000円ですが、2回の受験でも同じく3万2000円(1回分が無料)、3回の受験だと総額3万9000円という、大幅な割引制度を導入しています。また、一般選抜と共通テスト利用入試を併願する場合は、5000円割引となります(2023年度入試)。


 全学部統一入試を実施している明治大学では、1学部・1方式出願する際の検定料は3万5000円ですが、同一試験で2学部・2方式目以降の入学検定料が2万円です(例全学部統一入試で2学部に出願した場合、入学検定料の総額は3万5000円+2万円=5万5000円)。このほか、近年は「インターネット出願による受験料割引」も増えています。

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◆インターネット(web)出願

 インターネットの出願サイトから、必要な項目の情報を入力・送信する出願方法。受験生の手間の軽減や、大学側の人件費の削減、ペーパーレス化により環境にやさしいなどのメリットがあり、国公立大学を含めて近年導入する大学が増えています。


 2014年度入試から出願を完全インターネット化し、志願者数で初の日本一になった近畿大学のように、一般選抜でも紙の願書を廃止している大学も多くみられます。また、導入している多くの大学で、入学検定料や併願検定料の割引を行っており、利用する受験生が増えています。

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◆初年度納付金

 初年度納付金には、授業料に加え、入学金、施設整備費、実験実習費、諸会費などが含まれます。納入方法は、1次手続で入学金を納入し、2次手続で授業料を納入する2段階方式や、それらを一括で納入する方式(一部を延納できる場合もある)など、各大学によって異なるため、注意が必要です。


 国立大学の昼間部では、入学金、授業料に標準額があり、その合計は81万7800円となっています(施設整備費や実験実習費は、大学・学部によって異なる)。一方、私立大では、初年度納付金は大学間や学部間でばらつきが見られ、法学部で約100~125万円、理工学部で約150~180万円という額が一般的です。

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◆入学前予約型奨学金

 かつての奨学金制度は入学後に募集や申し込みをするものが大半でしたが、最近は大学独自の給付型奨学金制度や授業料免除などの学費減免制度を導入し、受験前に申請して予約採用するケースが増えています。


‍ 主として経済的に困窮している生徒を対象としたものと、学業成績が優秀な生徒を対象にしたものがあります。この制度は入学前に給付が約束されるため、保護者が学資の目途が立てやすく、受験生も安心して受験に臨めるという大きなメリットがあります。

‍【主な導入例(2025年度入学者対象)】
‍・国立大学
‍お茶の水女子大学「“みがかずば”奨学金」
 →1年次と2年次に30万円給付
‍信州大学「信州大学知の森基金奨学金」
 →一時金として10~40万円給付

‍・私立大学
‍早稲田大学「めざせ! 都の西北奨学金」
 →学部により45万円~70万円を4年間給付
‍青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」
 →年額50万円を4年間給付
‍◎医学部では地域枠の奨学金制度を設けている大学も有り。

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