センター試験における地理Bは、教科書・学習指導要領の内容に準じて、現代世界の系統地理的、地誌的考察や地球的課題などの重要項目、および地図、写真、統計の読み取りなどの地理的技能の習熟度を、多角的に幅広く問うことを基本として作問されています。地域としては、身近な地域・日本の諸地域も含んだ世界各地の問題がバランス良く配置されています。内容面でも、世界全体を視野に入れて各分野からまんべんなく出題されています。また、知識(用語や地名)そのものを問うことは少なく、地図や写真、統計など各種資料の読み取りと関連付けた出題が多くなっています。すなわち、標準的な知識をもとにした情報処理、思考、判断の能力を試すことが主題となっているのです。
◆思考力が大事
ということは、丸暗記に終始するような詰め込み学習では対応できないのです。地理は暗記科目と考えられがちですが、センター試験の地理Bにおいては、むしろ思考力が大切でしょう。地理的な事象について「なぜそうなるか」を十分に理解した上で、「使える(=応用できる)基本的な知識」をコツコツと積み上げていきましょう。知識がネットワーク化すれば、1つの理解が2つにも3つにも応用できるようになります。ただし近年の出題例を見ると、知識重視タイプの出題も目立っています。自然環境、産業、集落といった系統地理(分野別の学習)だけでなく、地誌(地域・国・都市ごとの学習)の準備も早めにスタートすることで、情報量の面での遅れを招かないようにしたいものです。このような場面では、一問一答形式の問題集なども役に立つでしょう。
◆資料問題に強くなろう
センター試験地理Bの最大の特徴は、地図や図表、写真などの資料を使った出題の割合が高いことです。毎年多くの地図、図、写真や統計表が用いられます。自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する学習を徹底するようにしましょう。教科書や資料集を用いて、主題図(テーマのある地図)や写真などに見慣れておくことも重要です。また、統計についても、順位、数値の暗記ではなく、統計の背後にある地理的事象を読み取る意識で、最新の統計をこまめにチェックするようにしましょう。また、指導要領の改訂に伴い、歴史的背景や経緯を問う出題がみられるようになっています。学習上、留意してください。
◆独特な出題形式に慣れておこう
独特な出題形式への慣れも欠かせません。組合せ式6択問題などがその典型です。問題の質や量と試験時間(60分)を見比べると、決して時間的な余裕はありません。10年分程度の過去問演習はもちろんですが、東進のセンター試験本番レベル模試を定期的に受験して、(1)頻出項目のマスターと最新傾向の把握、(2)出題形式への順応、(3)時間配分のトレーニング、といった点を強化することをおすすめします。
常識的に判断できる問題が減少し、難化した
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
分量については、大問6題構成が2006年以降連続している。設問数35、マーク数36は前年と同じであり、分量の増減はない。出題形式については、前年17問であった組合せ式の選択問題が大きく減少して11問(6択式9問、4択式2問)となった。例年同様に統計資料や図版が多用され、地理的な考え方や理解を問う問題が中心である。図版点数は前年と同じ28点で、そのうち写真は3点用いられた。内容については、全体的に前年と似た設問が目立った。第1問・第3問を中心に迷いやすい問題が目立ち、常識的に判断できる基本問題あるいは標準問題の分量は昨年ほど多くはなかった。そのため、全体的な難易度は難化したものと思われる。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
|
2015
|
第1問 |
世界の自然環境と自然災害 |
6 |
6 |
16 |
|
第2問 |
世界の農業 |
6 |
6 |
17 |
||
第3問 |
都市と村落 |
6 |
6 |
17 |
||
第4問 |
南アメリカ |
6 |
6 |
17 |
||
第5問 |
現代世界の諸課題 |
5 |
6 |
16 |
||
第6問 |
地域調査(北海道富良野市) |
6 |
6 |
17 |
||
2014
|
第1問 |
世界の自然環境 |
6 |
6 |
16 |
|
第2問 |
世界の資源と産業 |
6 |
6 |
17 |
||
第3問 |
都市と生活文化 |
6 |
6 |
17 |
||
第4問 |
西アジアとその周辺地域 |
6 |
6 |
17 |
||
第5問 |
現代世界の諸課題 |
5 |
6 |
16 |
||
第6問 |
地域調査(愛知県知多半島) |
6 |
6 |
17 |
||
2013
|
第1問 |
世界の自然環境 |
6 |
6 |
16 |
|
第2問 |
産業構造の変化と産業の立地 |
6 |
6 |
18 |
||
第3問 |
都市と村落、生活文化 |
6 |
6 |
17 |
||
第4問 |
地中海地域 |
6 |
6 |
18 |
||
第5問 |
現代世界における人口および民族の諸問題 |
5 |
5 |
15 |
||
第6問 |
地域調査(徳島県鳴門市) |
6 |
6 |
16 |
||
2012 |
第1問 |
世界の自然環境と自然災害 |
6 |
6 |
16 |
|
第2問 |
世界の農牧業 |
6 |
6 |
18 |
||
第3問 |
A |
都市と村落 |
3 |
3 |
17 |
|
B |
生活文化 |
3 |
3 |
|||
第4問 |
北アメリカ |
6 |
6 |
18 |
||
第5問 |
現代世界の諸課題 |
5 |
5 |
15 |
||
第6問 |
地域調査(大井川流域) |
6 |
6 |
16 |
過去の平均点の推移
2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
---|---|---|---|---|
69.68点 | 61.88点 | 62.16点 | 66.40点 | 65.11点 |