どの科目にしても、センター試験対策で基本となるのは教科書の内容です。「倫理、政治・経済」では「倫理」と「政治・経済」の2科目を学ぶ必要があるので大変ですが、両方合わせても世界史や日本史の教科書1冊程度ですから、格別に負担が重いということはないでしょう。とはいえ、高校の授業では「倫理」と「政治・経済」が十分に学習できないケースもあるので、できるだけ早くから教科書の内容をしっかりマスターし、実践的なトレーニングを進めることが求められます。
◆暗記よりも内容理解を
「倫理」と「政治・経済」では、知識よりも1つ1つの内容の理解が大切です。社会科は暗記だと思っている受験生は考えを改めてください。倫理分野でも政治・経済分野でも、常に「なぜそうなるのか」という問題意識を持って学習を進める必要があります。まずは手垢で汚れるくらい何度も教科書や参考書を読み、用語の意味が分からなければ用語集を参照して、最終的には教科書の巻末の索引にある用語を見たらその内容を容易にイメージできるくらいにまで到達しましょう。
◆思想家と仲良くなろう
倫理分野については特に暗記と捉えるとなかなか頭に入らないものです。用語集などに出ている思想家のプロフィールもよく読み、共感できるようになると理解がぐっと進みます。それらの思想家がどのような時代に生き、どのような問題意識で何を主張したのかをつかむことを目指してください。倫理資料集などで原典(その思想家が書いた著作等の一部の日本語訳)を読んでみると、その思想家の考え方がより分かりやすくなるでしょう。また、センター試験「倫理」の過去問の正文の選択肢文を読んでみるのもよいでしょう。これはその設問(ある思想家の思想の説明など)の答えを簡潔に述べているので、理解の手助けにもなります。
◆普段からニュースに関心を持つこと
「政治・経済」の教科書に記載されていることは、テレビや新聞などで報道される現実のニュースに直結しています。そのため普段からニュースに関心を持ち、教科書のどの部分に関連するかの意識を持つことが大切です。2015年度の本試験では、教科書では対応しにくい直近の2013年の事件が出題されていますが、これは教科書の範囲外から出題したというのではなく、教科書中のあるテーマに関連した出題です。このことからも、テレビや新聞などを通じて学習できる項目は、実はかなりたくさんあることが分かります。こうして身近に考えることで政治や経済の事項に関するセンスや勘が養われ、応用問題に遭遇しても十分に力を発揮できるようになります。『現代社会の最新時事』や、最新の政治・経済資料集、現代社会資料集などに触れておくことも有効です。ただし、時事的事項の名称だけをなんとなく「知っている」気分になり、その背景や理論、歴史を知らないために選択肢で「知っている」用語に惑わされて正解にたどりつけない、ということは避けなければなりません。「知っている」つもりになっている用語に関して理解を深めていくためには、今後試験本番までに、1日1項目、15分でもまず教科書や参考書を読むと良いでしょう。単にセンター試験への対策をするのではなく、常識力養成のための基礎力増強トレーニング、というぐらいの気持ちで勉強を開始してみてください。情報インプットとして『政経ハンドブック』(東進ブックス)を徹底して学習し、制度・しくみの定義はもちろん、その存在理由、問題点、対策をしっかり読み取ることが有効です。
その上で、アウトプットとして『倫理、政経 一問一答』(東進ブックス)でトレーニングを行うとよいでしょう。もちろん、過去問(「倫理、政治・経済」だけでなく「倫理」や「政治・経済」も)を解き、知識を定着させるとともにセンター試験の問い方の形式にも慣れてください。また、東進のセンター試験本番レベル模試は、年間のカリキュラムでセンター試験と同一レベル・同一形式の問題演習を繰り返します。積極的に受験して、自らの学習進度を測る物差しとして利用してください。
大問構成は倫理分野、政治・経済分野から各3問。小設問は大部分が「倫理」「政治・経済」単独からの流用だが、政治・経済分野にオリジナル問題あり。
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
出題形式としては、倫理分野、政治・経済分野から大問が各3問ずつ計6問、小設問は大部分が「倫理」「政治・経済」単独科目と共通であったが、政治・経済分野では「倫理、政治・経済」オリジナル問題が2題含まれていた。また政治・経済分野では昨年度と変わらず「倫理、政治・経済」オリジナルのリード文が1問あった。出題数は39問とこちらも変化なし。
本年度も「倫理」と「政治・経済」の全分野から網羅されるように設問が選択されている。倫理分野、政治・経済分野ともに十分な準備をしておかないと高得点はねらえない出題であった。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2015
|
第1問 |
現代社会分野・青年期分野 |
5 |
5 |
14 |
第2問 |
源流思想分野・日本思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第3問 |
源流思想分野・西洋近代思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第4問 |
政治・経済総合問題 |
6 |
6 |
14 |
|
第5問 |
人権と行政組織 |
7 |
7 |
18 |
|
第6問 |
経済のグローバル化 |
7 |
7 |
18 |
|
2014
|
第1問 |
現代社会分野・青年期分野 |
5 |
5 |
14 |
第2問 |
源流思想分野・日本思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第3問 |
源流思想分野・西洋近代思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第4問 |
国内政治・国内経済・国際政治分野 |
6 |
6 |
14 |
|
第5問 |
経済分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第6問 |
国内政治分野 |
7 |
7 |
18 |
|
2013
|
第1問 |
現代社会分野・青年期分野 |
5 |
5 |
14 |
第2問 |
源流思想分野・日本思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第3問 |
源流思想分野・西洋近代思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第4問 |
国際経済分野 |
6 |
6 |
14 |
|
第5問 |
国際政治分野・国内政治分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第6問 |
経済分野 |
7 |
7 |
18 |
|
2012 |
第1問 |
源流思想分野 |
7 |
7 |
18 |
第2問 |
西洋近代思想分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第3問 |
青年期分野・日本思想分野・現代社会分野 |
5 |
5 |
14 |
|
第4問 |
日本経済分野 |
6 |
6 |
14 |
|
第5問 |
日本経済分野・国際経済分野 |
7 |
7 |
18 |
|
第6問 |
政治分野 |
7 |
7 |
18 |
過去の平均点の推移
2014 | 2013 | 2012 |
---|---|---|
67.29点 | 60.68点 | 67.14点 |