センターの試験の内容は、教科書の範囲内の基礎知識が中心で、図表・グラフ読み取りなどの応用力と思考力を試す問題も出されます。「政治・経済」は,専門用語を理解していないと解答出来ない問題もあり、基本的な用語の理解が必須となります。したがって、単なる丸暗記は通用しないことも多く、完全な理解と把握が要求されるものです。「政治・経済」は理解が前提の科目と言え、その知識を定着させるためには演習問題をやり知識を活用生かす学習が必要になります。
政治分野では、政治現象や制度・機能とともに社会制度を形づくる諸法規、とくに日本国憲法にからむ諸事項および判例などは頻出項目です。折に触れ憲法の条文を参照して熟読するように心がけましょう。
経済分野では、計算問題などは実際に解いて慣れる必要があります。出題される項目は限られており、しかもそれほど高度なものではなく、一度理解すれば完全に身に付きます。他者との差が出る分野でもあり、完全に理解するまで取り組みましょう。
◆大きな歴史的な動きを把握する
「政治・経済」は歴史科目ではありませんが、歴史、しかも主に戦後史がよく出題されます。しかし、歴史的な内容や前後関係という大きな社会の動きを問うものばかりです。年号まで問われることはごく稀で、大づかみな歴史理解を心がければ正答できる問題が大部分です。
現在の政治・経済の社会現象は、過去の歴史的事実に密接につながっており、その延長線上に現在があることを理解して学習しましょう。
今、生起している政治経済現象はこれまでの歴史の結果であり、理解のためには歴史をたどる必要があります。歴史はそれぞれが独立した事象ではなく、因果関係でつながった社会事象であることに注意しましょう。
◆内外の時事問題に関心をもつ
「政治・経済」は、今まさに国内外で生じている社会現象に直接つながる科目なので、普段から時事ニュースに関心をもつ必要があります。ニュースを見て、教科書のどこに関連しているか、好奇心をもって学習しましょう。『現代社会の最新時事』で時事問題の動向や背景を押さえたり、『政経資料集』を活用するのもいい方法です。そして、分からない語句を見たら、すぐに教科書や用語集、さらにインターネットで調べる習慣もつけましょう。それがまさに生きた「政治・経済」の学習となり、世界観が広がってくるのです。
◆計画的で無駄のない学習を
年間の大まかな学習計画をたて、継続的に着実な学習を実行することが重要です。教科書の全体系を把握し、脚注項目までも読みこなすこと。さらに用語が決め手になることが多いので、たえず用語集などで語彙を増やすことに心がけましょう。そして、それをセンター試験直前まで続けることです。選択肢文中の一語を知っていたために判別・正解出来ることも多いのです。
情報インプットとして『政経ハンドブック』(東進ブックス)を徹底して学習し、制度・仕組みの定義はもちろん、その存在理由、問題点、対策をしっかり押さえることが有効です。その上で、アウトプットとして『政治・経済 一問一答』(東進ブックス)でトレーニングを行うとよいでしょう。
センター試験では、限られた時間内で正確に解答する力を求められます。東進のセンター試験本番レベル模試は、年間のカリキュラムでセンター試験と同一レベル・同一形式の問題演習を繰りかえします。積極的に受験して、自らの学習進度を測る物差しとして利用しましょう。
大問数4、設問数34、マーク数は34。いずれも昨年と同じであった。
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問4、小問34での構成は昨年と全く同じ。図表・グラフも計6問で昨年同様であった。典型的、基礎的な問題が中心で、全体の難易度としては昨年より易化した。ただ、今回の特徴的な設問として、複数の課題をクリアしないと正答できないものがいくつか見られた。たとえば、第2問の問2は所得再分配比率と相対的貧困率の数値と、各国の歴史的事実とを重層的に絡ませた問題。用語概念と歴史的知識が相まって正答できる問題である。第3問の問6は選挙やデモの国政への影響についての問題。これも歴史的な知識と用語の知識が備わっていないと正答できないものであった。第4問の問4は公債依存度と基礎的財政収支という用語の概念を完全に理解し、選択肢文の内容の正誤を読み取るという多次元的思考が必要になる。単なる用語の知識や表の計算だけでは太刀打ちできない問題が目立った。
年度 |
第問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2017 |
第1問 |
民法の制定と変遷 |
10 |
10 |
28 |
第2問 |
国際関係(南北問題) |
8 |
8 |
24 |
|
第3問 |
民主政治 |
8 |
8 |
24 |
|
第4問 |
貨幣 |
8 |
8 |
24 |
|
2016 |
第1問 |
国民国家の主権の変容 |
10 |
10 |
28 |
第2問 |
環境問題と企業・国民の意識改革 |
8 |
8 |
24 |
|
第3問 |
人権と行政組織 |
8 |
8 |
24 |
|
第4問 |
市場経済の欠陥を補う公的政策 |
8 |
8 |
24 |
|
2015 |
第1問 |
社会保障と税負担 |
10 |
10 |
28 |
第2問 |
各国の雇用問題 |
6 |
6 |
17 |
|
第3問 |
人権と行政組織 |
7 |
7 |
19 |
|
第4問 |
経済のグローバル化 |
7 |
7 |
19 |
|
第5問 |
グローバル社会と環境・人権・国際法 |
6 |
6 |
17 |
|
2014 |
第1問 |
戦後の日本経済 |
10 |
10 |
28 |
第2問 |
社会資本 |
6 |
6 |
17 |
|
第3問 |
経済分野 |
7 |
7 |
19 |
|
第4問 |
国内政治分野 |
7 |
7 |
19 |
|
|
第5問 |
国際政治分野 |
6 |
6 |
17 |
過去の平均点の推移
2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 |
---|---|---|---|---|
59.97点 | 54.79点 | 53.85点 | 55.46点 | 57.99点 |