センター試験の受験者は約53万人、そのうち日本史Bの受験者は約15.5万人です。これだけ多くの受験者によって明らかになったデータは、貴重です(たとえば、平成27年度の平均点は62.01点)。過去のデータは東進のホームページに掲載されていますので、参考にしながら過去問に取り組んで、自分の学力のレベルを判断するのに役立てましょう。
◆通史の学習とともに、演習も並行して進めよう!
いうまでもないことですが,通史の学習はインプット、演習はアウトプット的な性格をもっています。通史の学習で学んだ知識を答案に反映できるかどうかは、演習によって確かめてみるしかありません。センター試験・日本史Bで、最も多い形式である文章選択問題は、単純な暗記ではたちうちできず、理解していることが必要であることを気づかせてくれます。第1問のテーマ史は、通史を全て終えていないと取り組みづらいかもしれませんが、第2問は原始・古代、第3問は中世、というように、第2問〜第6問は時代ごとに大問が構成されています。通史と演習をうまく組み合わせて学習を進めてみてください。センター試験・日本史Bには、受験生の学力を測るための,さまざまな形式の良問が並んでいます。空欄補充・年代整序・文章選択・図版や史料を用いた問題など、一定のパターンを認識できれば、通史の学習の際にどのようなことを意識したらよいのかがみえてくるはずです。
◆「考えながら」覚える習慣をつけよう!
教科の性格上、日本史に暗記的要素が強いことは間違いありません。とはいえ、単純な暗記に終始していたとすれば、当然知識は定着しません。日本史の学習において、最良のバイブルは教科書です。そのことを認識していても、教科書を精読するといった習慣を身につけている受験生はそれほど多くはありません。単純な作業のように思えてしまい、教科書を精読することを継続できないとすれば、それは、「考える」ことをしていないからだといってよいでしょう。文化史を例にとれば、仏像彫刻を把握していく際に、(1)ほかの時代の文化史で把握した仏像彫刻と比較する、(2)写真で確認するなどしてその特徴を考える、(3)当時の仏教はどのような性格をもっていたのかを把握する、(4)政治・外交・社会などとの関連性を確かめる、などを意識して、読み方を変えてみましょう。そうして考えてみたことを自分でノートにまとめれば、立派なサブノートができあがっていきます。
◆模試を有効に活用しよう!
学習の習慣をつけるのは、容易ではありません。そこで勧めたいのが模試の受験です。「センター試験本番レベル模試」は、「全国統一高校生テスト」も含めると全6回、「難関大本番レベル記述模試」と「有名大本番レベル記述模試」はそれぞれ全5回、実施されます。これらは、受験日本史に精通したスタッフによって作成されています。学習のペースメーカーとするためにも、これらを受験しましょう。
出題形式と配点が変化し、時事的要素の強いテーマが取りあげられた。
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問数6題、小問数36問の問題数は昨年と同様であるが、大問ごとの配点が変更された。史料や視覚資料を用いた問題の数はほぼ例年通りであるが、グラフ・表の読み取り問題は出題されず、地図を用いた出題が1題増えた。
(時代)
原始からの出題が減少し、昨年と同じく戦後史からの出題は少なかった。幕末からの出題は例年通りなかったが、しばらく出題されていなかった戦国時代からの出題があった。
(分野)
例年通り、政治・社会経済・外交・文化とバランス良く出題されていたが、昨年増加した対外関係史が減少した。
(出題形式)
第1問では会話形式ではなく日記、第6問では定番の人物をとりあげた問題ではなくオリンピックという時事的要素の強いテーマが選択された。昨年減少した年代整序問題は1問増加した(14年度5→15年度3→16年度4)。XとYの2文の正誤問題も増加した。また、昨年出題された3つの語句の判断を求める空欄補充問題は出題されなかった。
(史料・グラフ・写真・地図)
史料(多賀城、新羅との交易、朝倉氏・北条氏の分国法、田沼政治、農地改革)、図版(「一遍上人絵伝」、「蒙古襲来絵巻」、大正時代の文化)、地図(江戸時代の特産物、公害と革新自治体)、が設問の素材として用いられた。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2016 |
第1問 |
史料としての日記 |
6 |
6 |
16 |
第2問 |
原始・古代の漆と香の文化 |
6 |
6 |
16 |
|
第3問 |
中世から近世初期までの政治・社会・文化 |
6 |
6 |
16 |
|
第4問 |
近世の政治・社会・文化 |
6 |
6 |
16 |
|
第5問 |
明治期の地方制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
日本とオリンピックとのかかわり |
8 |
8 |
24 |
|
2015 |
第1問 |
日本人の海外移住と外国人の渡来 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
原始・古代の農業と社会の変化 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世から近世初期までの政治・社会 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の政治・経済・社会 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期の立法機関 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
林芙美子とその時代 |
8 |
8 |
23 |
|
2014 |
第1問 |
古文書を中心とした博物館の展示に関する会話 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
原始・古代の社会・国家と交通との関係 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世の政治・経済・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の文化・外交 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期の租税制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
手塚治虫とその時代 |
8 |
8 |
23 |
|
2013 |
第1問 |
北海道・沖縄の歴史 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
原始・古代の政治・宗教・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世の宗教・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の政治・経済・社会 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期の特許制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
20世紀日本における軍事と政治・経済・社会とのかかわり |
8 |
8 |
23 |
過去の平均点の推移
2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 |
---|---|---|---|---|
62.01点 | 66.32点 | 62.13点 | 67.92点 | 64.11点 |