「物理基礎」は、力学、熱、波動、電磁気、エネルギーの利用などを扱います。応用的な内容は「物理」で扱うため、物理基礎は基礎的な内容が中心となります。そのため、複雑な計算はあまり必要ありません。一方で物理現象を正しく理解しているかどうかで大きく得点差がつく内容が多く出題されています。「物理基礎」の知識を身につけるにあたってまず重要なのは、扱われている物理現象について正しく理解することです。数学と異なり、物理は自然現象を扱っているため、起こっている現象を正しく理解することが重要です。教科書等には、図や写真を多用して物理現象を丁寧に説明しています。計算問題を解く前に、時間変化とともにどのように物理現象が起こっているのかについて、理解することを心がけましょう。
◆基本問題から解いていく
物理現象についての理解が深まってから問題演習を行うと、「物理基礎」に関する理解が深まります。ただし、いきなりセンター試験の過去問や予想問を解くのではなく、基本問題から始めるのが重要です。なぜならば、センター試験の過去問や予想問題を解く主な目的は、センター試験の出題形式に慣れたり、現状の学力がどれくらいなのかを測ったりするためであって、いずれも最終的には「物理基礎」の学力を身につけるためにつながっています。まずは、基本的な問題を解いて基本的な物理現象の理解を深め、次に標準的な問題を解いて、やや複雑な設定を複数の公式を用いて考える練習をしましょう。
◆模試を受験してセンター試験の出題形式に慣れる
センター試験では限られた制限時間内で正解を求められる独特の出題形式があります。物理の学力が身についたとしても、センター試験の出題形式に戸惑って実力が十分に発揮できないと、それまでの努力が報われません。例年、センター試験の「物理基礎」は、複数の答えの組合せを答える問題やグラフの選択問題など、独特の出題形式が見られます。また、「物理基礎」とそれ以外の基礎科目で合わせて解答時間が60分なので、時間配分に慣れておかないといけません。センター試験本番で実力を発揮するためにも、センター試験と出題形式や出題範囲が同じ全国統一高校生テストを含めて年間6回実施される「センター試験本番レベル模試」を受験し、センター試験の出題形式や時間配分に慣れておく必要があります。もちろん、模試は受けっぱなしにするのではなく、不正解だった問題や偶然正解した問題について復習することも重要です。出来なかった問題を復習し、類題が解けるようになれば、更なる高得点が期待できます。
例年通り第1問の小問集合、第2問の波動・電気、第3問の力学と、各分野からまんべんなく出題された。分野の偏りはなく、教科書の基本事項からの出題である。組合せ選択肢の問題は昨年と同じく5問出題されている。また毎年出題されていた発電方式は今年度は出なかった。
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問3題の構成で出題された。第1問の小問集合は、仕事とエネルギー、3つの力のつりあい、電荷・静電気力の性質と電気量の単位、直接音と反射音を利用した距離の測定、熱平衡と熱容量の大小からの出題であった。問4では常温での音速が約340m/sであることを知識として知っていないと解答できない。
第2問は、Aがうなり、Bが電気抵抗とジュール熱に関する出題であった。うなりは昨年に続いて2年連続での出題である。
第3問は、Aが鉛直投げ上げと水平投射、Bが定滑車につるされたおもりに関する力のつりあいと等加速度運動に関する出題であった。Bでは物体B,Cを一体系とみることがポイントである。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2018 |
第1問 |
小問集合 |
5 |
5 |
20 |
第2問 |
波動、電気 |
4 |
4 |
15 |
|
第3問 |
力学 |
4 |
4 |
15 |
|
2017 |
第1問 |
小問集合 |
5 |
5 |
20 |
第2問 |
波動、電気 |
4 |
4 |
15 |
|
第3問 |
力学 |
4 |
4 |
15 |
|
2016 |
第1問 |
小問集合 |
5 |
5 |
20 |
第2問 |
波動、電気 |
4 |
4 |
15 |
|
第3問 |
力学 |
4 |
4 |
15 |
|
2015 |
第1問 |
小問集合 |
5 |
5 |
20 |
第2問 |
波動、電気 |
4 |
4 |
15 |
|
第3問 |
力学 |
4 |
4 |
15 |
過去の平均点の推移
2017 | 2016 | 2015 |
---|---|---|
29.69点 | 34.37点 | 31.52点 |