大学入学共通テストでは限られた時間内で、正確に解答する力を求められます。今後の1年でただ暗記をするのではなく、正確な理解をしていく学習をしなければ、試験本番で対応することは困難となります。そのためにも、「教科書の学習」「本番を想定した問題に取り組む」「時事への対応」の3本柱が必要となってきます。現代社会を得意科目にすることで幅広い常識が養われ、他の科目や、推薦、AO入試を含めた小論文などにも通用する学力を育成することができます。
◆教科書の学習
現代社会に限らず、公民科目で最も危険なのは、時事的事項の名称だけをなんとなくニュースで見聞きして「知っている」気分になり、その背景や理論、歴史を知らないために選択肢で「知っている」単語に惑わされて正解にたどりつけない、という状態で本番を迎えてしまうことです。「知っている」つもりになっている単語に関して、理解を深めていくためには、試験本番までに、1日1項目でもまず教科書にあたるしかありません。単にセンター試験への対策をするのではなく、常識力養成のための基礎力増強トレーニング、というぐらいの気持ちで勉強を開始してみてください。情報のインプットとして『現社ハンドブック』(東進ブックス)を徹底して学習し、制度・しくみの定義はもちろん、その存在理由、問題点、その問題点に対する対策をしっかり読み取ることが有効です。その上で、アウトプットとして『センター現社一問一答』(東進ブックス)でトレーニングを行い、実践問題集として『現代社会問題集』(東進ブックス)で実践感覚を養うとよいでしょう。
◆本番を想定した問題に取り組む
大学入学共通テストでは、知識よりも情報の読み取り力が試される統計問題などが出題される可能性があります。その分、特殊な設問形式への対応を短時間で行う必要があります。本番を想定した問題に取り組むことで、予想される大学入学共通テストのレベルや形式に慣れましょう。また、模試を受けることにより弱点の把握なども行え、学習がより効率化できます。さらに弱点の把握なども行え、学習がより効率化できます。
◆時事問題への対応
時事的事項に日々接することで学習が進みます。知らないことが出たら教科書や資料集にすぐにあたり、理論的事項と結び付ける学習姿勢が大切です。『現代社会の最新時事』、『現代社会資料集』などにも触れておくことで、幅広い学力が養成できます。国際分野は地図やホームページも参照するなどの工夫をして、特にその理論的背景を意識して学習しましょう。
東進の共通テスト本番レベル模試は、試行調査を軸に本番の出題を想定して作成されています。積極的に受験して、自らの学習進度を測る物差しとしてください。
総合的大問が増えたものの出題形式はオーソドックスな傾向を維持、幅広い分野での理解の正確さが求められる
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
出題形式は大問6問、小問36問と、過去5年と同様であった。昨年と若干変化し、第1問と第3問の小問が8問、その他が5問という形式であった。統計を読み取る形式の設問は例年通り2問出題された。両問とも読み取りだけでなく計算を要求されるが、落ち着いて取り組めば正解にたどりつける内容であった。3つの内容の正誤をすべて判別する問題が昨年は出題されなかったが、本年は3問出題され2018年の傾向に戻った。2019年になかった本文との内容合致を問う設問も復活している。一方、2018年の第3問問2のように、知識よりも条件を基にした論理的な思想力を問う、共通テストの傾向を先取りする出題といえる設問は昨年に引き続き明確には見当たらず、2018年まで2年連続で出題された選択肢ごとに写真が付く形態の出題も昨年に引き続きなかった。
バーゼル合意、民法における「契約」、比較生産費説など、前年取り上げられた事項が出題されているケースが目につく一方、分野が入り混じった総合的な出題の大問が増えた。ただ、時事的要素の占めるウエイトはリード文の第一印象の割に多くないといえる。また一部の設問で細かい学習が必要な事項も含まれているため、理論的事項の学習の徹底が要求されるものとなっている。倫理的要素は、マズローの自己実現論が昨年に続いて出題されるなど、ほぼ前年なみのウエイトであった。全体的に一般常識で判断できる設問は昨年同様ほぼ存在しないため、主として「政治・経済」分野での着実な学習が要求される出題となった。
政治・経済、および現代社会の諸問題に関する事項が融合した出題傾向が進んでいるものの、出題形式・内容自体は極めてオーソドックスであり、学習の達成度が点数に反映しやすい内容であった。また通常の設問形式よりも正答にたどりつきやすい適当でないものを選ぶ問題の減少傾向に歯止めがかかり、昨年より1問増加した。一部出題形式の変化はあったものの2018年の傾向の復活が多く、出題形式でとまどわない分、正確な知識が問われる出題傾向が維持され、全体の難易度は前年並みであったと言える。
年度 | 大問 | 出題分野 | 設問数 | マーク数 | 配点 |
2020 | 第1問 | オリンピック・パラリンピック(政治経済総合問題) | 8 | 8 | 22 |
第2問 | 青年期・ライフスタイルの変化 | 5 | 5 | 14 | |
第3問 | 学問領域・経済における課題の取り組み | 8 | 8 | 22 | |
第4問 | ヒト・モノの移動・情報の流通 | 5 | 5 | 14 | |
第5問 | 経済成長と経済危機 | 5 | 5 | 14 | |
第6問 | 政治参加のあり方 | 5 | 5 | 14 | |
2019 | 第1問 | 経済のグローバル化 | 8 | 8 | 22 |
第2問 | 人権保障と国家の役割 | 5 | 5 | 14 | |
第3問 | 人の社会性 | 5 | 5 | 14 | |
第4問 | 社会保障制度 | 8 | 8 | 22 | |
第5問 | 地方創生 | 5 | 5 | 14 | |
第6問 | 欧州の統合 | 5 | 5 | 14 | |
2018 | 第1問 | 企業と労働、地域問題(会話文) | 8 | 8 | 22 |
第2問 | 選挙権の18歳への年齢引き下げ | 5 | 5 | 14 | |
第3問 | 発達段階、環境問題 | 8 | 8 | 22 | |
第4問 | ロボットと社会問題 | 5 | 5 | 14 | |
第5問 | 経済思想 | 5 | 5 | 14 | |
第6問 | 環境問題 | 5 | 5 | 14 | |
2017 | 第1問 | 環境 | 8 | 8 | 22 |
第2問 | 民主政治 | 5 | 5 | 14 | |
第3問 | 日本の景気動向や経済情勢(会話文) | 8 | 8 | 22 | |
第4問 | 歴史的建造物と建築規制 | 5 | 5 | 14 | |
第5問 | 国際機関 | 5 | 5 | 14 | |
第6問 | 経済の仕組みと景気 | 5 | 5 | 14 | |
2016 | 第1問 | 幸福の追求と社会 | 8 | 8 | 22 |
第2問 | 私たちの生きる社会 | 5 | 5 | 14 | |
第3問 | 環境問題と行政(会話文) | 8 | 8 | 22 | |
第4問 | GDP(国民総生産)と経済 | 5 | 5 | 14 | |
第5問 | 青年期 | 5 | 5 | 14 | |
第6問 | グローバル化と現代社会 | 5 | 5 | 14 |
過去の平均点の推移
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 |
---|---|---|---|---|
59.06点 | 56.76点 | 58.22点 | 57.41点 | 54.53点 |