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◆センター試験地理Aの特徴

2021年からの共通テストですが、地理Aでは試行テストは実施されず、代わりに参考問題例が公表されました。この問題をみる限り、内容・形式面ではセンター試験と大きな違いはないようです。
過去のセンター試験地理Aでは、教科書や学習指導要領の内容に沿って、生活・文化や地球的課題などの重要事項や、地理的な技能(地図や写真、統計の読み取りなど)の習熟度を、多角的に幅広く問う出題がなされています。地理Bの出題と内容面で比較した場合、地理Aでは「地理的技能と調査」「世界の生活文化と環境」「近隣諸国の生活と文化」「地球的課題と国際協力」といった単元が重視されていることに注意しましょう。
地域としては、地理Bと同様に身近な地域を含みつつ、日本の諸都市をはじめとして世界各地の問題がバランス良く配置されています。また、細かい知識を問うような設問よりも、地図や写真、統計など各種資料の読み取りと関連づけた出題が多くなっています。つまり、基礎的な知識をベースとした情報処理、思考、判断の能力を試す出題が中心となっているといえます。
このようなセンター試験における傾向は、共通テストの参考問題例においてさらに強まっています。「学習課題についてグループで調べてまとめ、成果を発表する場面」などの設定のもとで、地理的思考力や資料の読み取り技能を重視した問題の割合が多く、その結果、複数の判定を組合せた形式の設問が中心となっています。用語や地名を詰め込むだけの学習は、これまで以上に用をなさなくなるでしょう。

◆日ごろから世界の動きに関心をもつこと

このような出題傾向に対し、断片的な知識の丸暗記では対応できません。知識と知識のつながりを意識した学習の積み重ねが必要です。特に、貿易や人的交流などの国家間の結合に関する「統計」の理解は重要です。数値を覚えるのではなく、統計の背後にある意味を考える習慣を身につけましょう。また、衣食住など世界各地の民族や文化に関する広い素養をつくっていきましょう。そのためには、テレビのクイズ番組やニュース、新聞記事などへの日ごろからの関心も求められます。

◆写真・地図資料にも注意しよう

地図や図表などの資料、特に写真を使った出題の割合が高いセンター地理Aの傾向は共通テストにも引き継がれるはずです。写真利用問題については、資料集に掲載されている世界各地の景観、民族衣装、家屋などの写真を普段から意識して見るようにすることが有効です。自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する学習を徹底するようにしましょう。

◆独特な出題形式に慣れることが大事

統計問題・地形図の読図問題や組合せ式の6択問題など、独特な出題形式への慣れも欠かせません。問題の質や量と試験時間を見比べると、本番ではけっして時間的なゆとりはありません。5年分程度のセンター過去問演習はもちろんですが、東進の共通テスト本番レベル模試(地理Bの受験によって十分に地理Aの対策になる)を定期的に受験して、(1)頻出項目のマスターと最新傾向の把握、(2)出題形式への順応、(3)時間配分のトレーニング、といった点を強化することをおすすめします。

分量・形式・出題分野・難易度、いずれも昨年並みだった。 


大問数
減少 | 変化なし | 増加 
設問数
減少 | 変化なし | 増加 
マーク数
減少 | 変化なし | 増加 
難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 


分量
 大問数は例年通り5題である。設問数とマーク数は前年同様、ともに34である。

形式
 組合せ式の設問は前年と同じ11問(うち6択式7、4択式4)。図版数は前年と同じ28点となったが、そのうち写真資料は前年より1つ減って3点であった。

構成と内容
 各大問の設問数・解答数、配点は前年から変わらなかった。
第1問は4年続けてAとBに分かれ、Aは「地理の基礎的事項」、Bは「日本の自然環境と防災」であった。
第2問も4年連続して「世界の生活・文化」に当てられた。
第3問は地誌の大問であるが、「ヨーロッパ」が扱われたのは2006年以来である。
第4問は2018、19年同様に「世界の結びつきと地球的課題」の分野から出題された。
第5問は、例年通り地理B(第6問)との共通問題となる「地域調査」であった。

難易度
 いずれも高校地理に関する標準的な知識や図表を読み取る力を要求する問題であり、総合的な学力が求められる。常識的に判断しやすい設問も多いが、やや細かい知識を要する設問もあり、昨年並みの難易度だったと思われる。


年度 大問 出題分野 設問数 マーク数 配点
2020 第1問 地理の基礎的事項 5 5 14
日本の自然環境と防災 3 3 9
第2問 世界の生活・文化 7 7 20
第3問 ヨーロッパ 7 7 21
第4問 世界の結びつきと地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(山梨県甲府盆地とその周辺地域) 6 6 18
2019 第1問 地理の基礎的事項 5 5 14
日本の自然環境と防災 3 3 9
第2問 世界の生活・文化 7 7 20
第3問 南アメリカ 7 7 21
第4問 世界の結びつきと地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(宮崎市) 6 6 18
2018 第1問 地理の基礎的事項 5 5 14
日本の自然環境と防災 3 3 9
第2問 世界の生活・文化 7 7 20
第3問 オーストラリア 7 7 21
第4問 世界の結びつきと地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(岐阜県高山市) 6 6 18
2017 第1問 地理の基礎的事項 5 5 23
日本の自然環境と災害 3 3 18
第2問 世界の生活・文化 6 6 21
第3問 ラテンアメリカ 7 7 21
第4問 地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(長崎県壱岐島) 7 7 20
2016 第1問 地理の基礎的事項 8 8 22
第2問 日本の自然環境と防災 5 5 15
第3問 世界の生活・文化 7 7 21
第4問 地球的課題と世界の結びつき 8 8 24
第5問 地域調査(岩手県北上市) 6 6 18

過去の平均点の推移

2020 2019 2018 2017 2016
57.45点 57.11点 50.03点 57.08点 52.14点

◆「地理A」という科目の特徴
 地理Aは、地理Bと比べて高校での単位数が少ないので、「範囲がせまくて易しい」と考えられがちです。しかし、過去のセンター試験での出題を比較した場合、地理Aが易しいとはいえません。地理Aは地理Bと比べて受験者数が極端に少なく、平均点の単純な比較には意味がありません。両者に共通問題があることなどを考慮すると、難易度の差はないと思われます。したがって、安直な考えで地理Aを選択するのは考えものです。参考書や問題集の多くは「地理B用」になっているため、学習の便宜や情報の面で苦労する可能性もあります。それでも地理Aのほうが合っているという人は、ぜひチャレンジしてください。上手に学習すれば地理Bよりも早くマスターできる可能性があります。
 なお、2021年度から行われる「大学入試共通テスト」の試行調査において、地理Aは実施されませんでしたが、代わりに参考問題例が公表されています。現行のセンター試験と大きな違いはないものの、シンプルな知識問題よりも論理的な思考力や資料の読み取り技能を重視した組合せ式の設問が増えるようです。

◆今のうちにやっておきたいこと
(1)一通りのことが書かれた本を読んで、地理という科目の「雰囲気」をつかんでおきましょう。いきなり教科書を読むのが難しい場合は、『山岡の地理B教室』(東進ブックス)のような入門書を利用してください。なお、地理Aの学習内容の多くは地理Bの各単元に含まれているので、参考書や問題集は地理B用のものである程度代用できます。

(2)地図帳に慣れておきましょう。地理における地図帳は、英語学習における辞書のような存在です。各地方の並び順、地図上のさまざまな約束、索引の使い方、などを体で覚えておきましょう。知らない地名が出てくるたびに地図帳を開く習慣を身につけてください。

(3)東進では「ベーシック地理」など、基礎レベルの講座を用意しています。これらを高2のうちに受講しておけば、無理なく高3での対策学習につなげられるでしょう。

(4)さまざまなメディアも利用しましょう。TVの特集、クイズ番組、ニュースなどや新聞の国際面の記事、インターネットで得られる情報などを積極的に活用することで見識を広げてください。世界各地域の生活や文化が多く問われる地理Aの場合、学習を進める上で有利となるでしょう。

そして、「地理は暗記科目ではなく、考える科目である」ことをしっかり理解しておきましょう。地誌の知識が重視される地理Aにおいても、学習の決め手は「理屈で考える」ことです。

分量・形式・出題分野・難易度、いずれも昨年並みだった。 


大問数
減少 | 変化なし | 増加 
設問数
減少 | 変化なし | 増加 
マーク数
減少 | 変化なし | 増加 
難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 


分量
 大問数は例年通り5題である。設問数とマーク数は前年同様、ともに34である。

形式
 組合せ式の設問は前年と同じ11問(うち6択式7、4択式4)。図版数は前年と同じ28点となったが、そのうち写真資料は前年より1つ減って3点であった。

構成と内容
 各大問の設問数・解答数、配点は前年から変わらなかった。
第1問は4年続けてAとBに分かれ、Aは「地理の基礎的事項」、Bは「日本の自然環境と防災」であった。
第2問も4年連続して「世界の生活・文化」に当てられた。
第3問は地誌の大問であるが、「ヨーロッパ」が扱われたのは2006年以来である。
第4問は2018、19年同様に「世界の結びつきと地球的課題」の分野から出題された。
第5問は、例年通り地理B(第6問)との共通問題となる「地域調査」であった。

難易度
 いずれも高校地理に関する標準的な知識や図表を読み取る力を要求する問題であり、総合的な学力が求められる。常識的に判断しやすい設問も多いが、やや細かい知識を要する設問もあり、昨年並みの難易度だったと思われる。


年度 大問 出題分野 設問数 マーク数 配点
2020 第1問 地理の基礎的事項 5 5 14
日本の自然環境と防災 3 3 9
第2問 世界の生活・文化 7 7 20
第3問 ヨーロッパ 7 7 21
第4問 世界の結びつきと地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(山梨県甲府盆地とその周辺地域) 6 6 18
2019 第1問 地理の基礎的事項 5 5 14
日本の自然環境と防災 3 3 9
第2問 世界の生活・文化 7 7 20
第3問 南アメリカ 7 7 21
第4問 世界の結びつきと地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(宮崎市) 6 6 18
2018 第1問 地理の基礎的事項 5 5 14
日本の自然環境と防災 3 3 9
第2問 世界の生活・文化 7 7 20
第3問 オーストラリア 7 7 21
第4問 世界の結びつきと地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(岐阜県高山市) 6 6 18
2017 第1問 地理の基礎的事項 5 5 23
日本の自然環境と災害 3 3 18
第2問 世界の生活・文化 6 6 21
第3問 ラテンアメリカ 7 7 21
第4問 地球的課題 6 6 18
第5問 地域調査(長崎県壱岐島) 7 7 20
2016 第1問 地理の基礎的事項 8 8 22
第2問 日本の自然環境と防災 5 5 15
第3問 世界の生活・文化 7 7 21
第4問 地球的課題と世界の結びつき 8 8 24
第5問 地域調査(岩手県北上市) 6 6 18

過去の平均点の推移

2020 2019 2018 2017 2016
57.45点 57.11点 50.03点 57.08点 52.14点

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