センター試験の受験者は50万人以上、そのうち日本史Bの受験者は約15万人です。これだけ多くの受験者によって明らかになったデータは、貴重です(たとえば、平成26年度の平均点は66.32点)。過去のデータは「独立行政法人 大学入試センター」のホームページに発表されていますので、定期的に過去問に取り組んで、自分の学力のレベルを判断するのに役立てましょう。
◆通史の学習とともに、演習も並行して進めよう!
いうまでもないことですが、通史の学習はインプット、演習はアウトプット的な性格をもっています。通史の学習で学んだ知識を答案に反映できるかどうかは、演習によって確かめてみるしかありません。センター試験・日本史Bで、最も多い形式である文章選択問題は、単純な暗記ではたちうちできず、理解していることが必要であることを気づかせてくれます。第1問のテーマ史は、通史を全て終えていないと取り組みづらいかもしれませんが、第2問は原始・古代、第3問は中世、というように、第2問〜第6問は時代ごとに大問が構成されています。通史と演習をうまく組み合わせて学習を進めてみてください。センター試験・日本史Bの作問には多くのスタッフが関わっており、受験生の学力を測るための,さまざまな形式の良問が並んでいます。空欄補充・年代整序・文章選択・図版や史料を用いた問題など、一定のパターンを認識できれば、通史の学習の際にどのようなことを意識したらよいのかがみえてくるはずです。
◆「考えながら」覚える習慣をつけよう!
教科の性格上、日本史に暗記的要素が強いことは間違いありません。とはいえ、単純な暗記に終始していたとすれば、当然知識は定着しません。日本史の学習において、最良のバイブルは教科書です。そのことを認識していても、教科書を精読するといった習慣を身につけている受験生はそれほど多くはありません。単純な作業のように思えてしまい、教科書を精読することを継続できないとすれば、それは、「考える」ことをしていないからだといってよいでしょう。文化史を例にとれば、仏像彫刻を把握していく際に、(1)ほかの時代の文化史で把握した仏像彫刻と比較する、(2)写真で確認するなどしてその特徴を考える、(3)当時の仏教はどのような性格をもっていたのかを把握する、(4)政治・外交・社会などとの関連性を確かめる、などを意識して、読み方を変えてみましょう。そうして考えてみたことを自分でノートにまとめれば、立派なサブノートができあがっていきます。
◆模試を有効に活用しよう!
学習の習慣をつけるのは、容易ではありません。そこで勧めたいのが模試の受験です。センター試験本番レベル模試は、全国統一高校生テストも含めると全6回、難関大本番レベル記述模試と有名大本番レベル記述模試は全5回、実施されます。これらは、受験日本史に精通したスタッフによって作成されています。学習のペースメーカーとするためにも、これらを受験しましょう。
戦後史の出題が激減し、対外関係史の出題が増加した。
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問数6題、小問数36問の問題数は昨年度と同様。例年通り、史料・グラフ・写真・地図を用いた問題がみられたが、出題数はやや減少した。昨年度減少した外交史(対外関係史)の出題が増加した。
(時代)
中世の割合が減少し、戦後史からの出題が減少した。第3問は中世に限定されず、近世初期(織豊政権)までが出題の対象となった。
(分野)
例年通り、政治・社会・経済・外交・文化とバランス良く出題されていたが、外交史(対外関係史)がやや目立った。前近代の文化史の出題は減少した。
(出題形式)
多様な素材(史料・グラフ・写真・地図)を用いた問題は、昨年度よりやや減少した。年代整序問題は、昨年度の5題から3題へと減少した。空欄補充問題では、3つの語句の判断を求める問題が出題された。過去問と類似した地図問題が出題されたことが特筆点としてあげられる(第6問の問6と2013年度第6問の問6)。
(史料・グラフ・写真・地図)
史料(鹿子木荘に関する史料、北条泰時書状、1838年の江戸幕府の諮問に対する代官の回答、鉄道国有法案の審議に関する議事録)、グラフ(日本人の海外移住者数)、写真(朱印状、竪杵・石包丁)、地図(日本軍が占領した都市)が設問の素材として用いられた。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2015
|
第1問 |
日本人の海外移住と外国人の渡来 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
原始・古代の農業と社会の変化 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世から近世初期までの政治・社会 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の政治・経済・社会 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期の立法機関 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
林芙美子とその時代 |
8 |
8 |
23 |
|
2014
|
第1問 |
古文書を中心とした博物館の展示に関する会話 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
原始・古代の社会・国家と交通との関係 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世の政治・経済・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の文化・外交 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期の租税制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
手塚治虫とその時代 |
8 |
8 |
23 |
|
2013
|
第1問 |
北海道・沖縄の歴史 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
原始・古代の政治・宗教・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世の宗教・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の政治・経済・社会 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期の特許制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
20世紀日本における軍事と政治・経済・社会とのかかわり |
8 |
8 |
23 |
|
2012
|
第1問 |
文化財の保護と活用 |
6 |
6 |
12 |
第2問 |
古代の政治・社会・文化 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
中世の政治 |
6 |
6 |
18 |
|
第4問 |
近世の政治・社会 |
6 |
6 |
17 |
|
第5問 |
明治期における日本の領土とその支配 |
4 |
4 |
12 |
|
第6問 |
市川房枝とその時代 |
8 |
8 |
23 |
過去の平均点の推移
2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
---|---|---|---|---|
66.32点 | 62.13点 | 67.92点 | 64.11点 | 61.51点 |