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2017年8月18日 20:54

世界史はつまらない?

こんにちは。スタッフ4年の近藤です。

 

前回は私が大学に入ってから一番好きになった学問(経済学)についてブログを書きましたが、今回は私が受験生時代に一番好きだった教科について書きたいと思います。

 

それは世界史です。

最初は「暗記量が多くて嫌だな」としか思っていなかったのですが、ある程度知識が身についてくると、国や大陸といった大きなスケールでダイナミックに展開される歴史の虜になっていきました。

 

しかし、受験生の皆さんの中には、「どうも歴史科目は好きになれない、面白くない」という方も多いのではないでしょうか?そんな皆さんが歴史に「開眼」する?きっかけになればと思い、ある本の一節を紹介します。

 

PHP研究所から20171月に出版された『教養としての「世界史」の読み方』という本です。著者の本村凌二氏は、長年東京大学でローマ史を研究されていた方で、この本では「古代史を専門とする歴史家(つまり本村氏)が解読する世界史の一例」が示されています。

本の中で本村氏は次のように述べています。

 

「これまで日本人が学校で習う歴史が面白くなかったのは、歴史に関する知識が受験を目的としたものに特化されてしまっていたからです。歴史の教科書も授業も、常に古代から現代に向かう一方通行で、今はこうだが、過去はどうだったのかとか、今こうなったきっかけはどこにあったのか、というように、現代から古代に向かっていく思考や因果関係はまったくといっていいほどありません。その結果、古代史は古代史だけ、中世史は中世史だけで考えることになるので、知識をただ丸暗記する面白くない学問になってしまっていたのです。」

 

確かに、因果関係も何も考えずに、用語の丸暗記で勉強が終わっている人もいるかもしれません。しかし世界史はもっと面白いものだと本村氏は主張します。

 

「でも、実際の歴史は途切れることなく今に繋がっています。今起きている問題の背後には、必ずそれに関係する歴史が存在しています。もっと言えば、たとえば「ローマの歴史の中には、人類の経験のすべてが詰まっている」という言葉に象徴されるように、今直面している問題のほとんどは、すでに過去に人類が経験しているので、歴史に学ぶことで今後の展開を予測し、問題を解決する道を見いだすことができるのです。」

 

本ではこの後、ヨーロッパが現在抱える諸問題(ブレグジット、ギリシア問題、難民問題)などについて、歴史と絡めて解説されています。

 

さて本の中では痛烈に批判されていた「受験世界史」ですが、少なくとも東京大学の入試問題に関しては、「今との繋がり」を意識した出題がなされていると思います。例えば2004年度の第1問は、次のような問題でした。

1985年のプラザ合意後、金融の国際化が著しく進んでいる。1997年のアジア金融危機が示しているように、現在では一国の経済は世界経済の変動と直結している。世界経済の一体化は16,17世紀に大量の銀が世界市場に供給されたことに始まる。(中略)1618世紀における銀を中心とした世界経済の一体化の流れを概観せよ。」

 

また私が受験した2014年度の第1問は、ロシアの19世紀の対外政策に関する問題でしたが、この年ロシアのクリミア編入が起こっています。

このように東大が「今と繋がる歴史」について問うている以上、受験生の皆さんもそれを意識した勉強をする必要があるでしょう。そしてそうしていれば、世界史学習が無味乾燥のものでは自然となくなるはずです。

 

最後に一言アドバイスです。東大受験生の皆さんは歴史のいわゆる「ヨコのつながり」を意識する傾向が強いですが、それは「タテの流れ」をある程度理解してからにしましょう。例えば「古代オリエントの諸帝国の位置関係」について整理出来ていますか?まずは地域史を理解することで、世界史学習が楽になると思いますよ。

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