東大特進コースのスタッフによる第一回東大本番レベル模試の所感です。

今回は【理科】です。

受験生目線の所感です。復習の参考にしてください。

 

■物理 

総評:標準

1問が力学、第2問が電磁気学、第3問が波動からの出題という2021年の入試と同じ範囲構成でした。まだ6月ということも考慮されているのか、範囲の中でも基礎的な部分を題材とする問題が主だった印象を強く受けました。その基礎的な部分がかたまっていない方も、焦ることなく今後の学習のなかで着実に実力をつけていければ大丈夫です。また、基礎的な部分はクリアできているけど解き進めるうえで正確な計算の実行が難しかったという方が少なくないと推測されます。求められる情報処理の量が多い理科という科目で正確性とスピードを両立するのは並大抵のことではないのは言うまでもないですが、徐々に数を重ねていくであろう演習を通して時間配分など戦略的なところも身につけていければいいと思います。

 

1問 やや易

小物体と台というよくある二体問題の設定だったのでスムーズに状況を把握できたはずです。等加速度運動が不安なく扱える状態であれば特に詰まることなく手が動いたのではないでしょうか。答えを算出してそれで満足するのではなく、θを90°に近づけたりMに近づけたりすることでさらに単純な運動になることを捉えそこでのなるべき値と一致するかという検算方法もぜひ試してみてください。

I

単純な力を把握し運動方程式を立て、誘導通り整理していけば空欄は難なく埋まることでしょう。

II 等加速度運動の式で淡々とこなしていってもいいですし、状況が把握できていれば運動量や力学的エネルギーの保存則を用いて立式することもできたでしょう。(4)にて軸の方向の傾きが何を意味しているのかというところに関しては少しつかみにくかったかもしれません。

 

2問 やや易~標準

点電荷による電場・電位を扱う電磁気の基本的な問題でした。まだ電位・電場をしっかり押さえられていない方には少し厳しかったかもしれませんが、基礎が固まっている方の目には誘導に従って近似を行い順に計算していく問題に映ったことでしょう。電磁気の内容を使わないような、距離の次元における近似の計算問題などもあったので、電磁気に不安があり手が進まなかった人もそういう問題を拾っていければ一定の点数が確保できたと言えます。

I 1)は点電荷間のクーロン力を求める基本的な問題です。習った方は書けないといけません。対して(2)は単なる三角比の問題です。落とせません。(3)については、厳密に解くとある点(x,y)における電場を計算しその値が0となる条件を求めるわけですが、時間が無い方は、「y成分が生まれる余地のないx軸上と、2つの電荷から等距離でy成分が打ち消しあう場所つまりy軸上」という直感的な考え方で答えをさっと書いておくというのも試験中の1つの実戦的な手だと思います。(4)は近似計算、(5)は基本的な電位の重ね合わせです。

II 1)についてもクーロン力を各々求めその合力をベクトルの足し算で求めるというよくある問題です。√2が絡んできてミスしやすいかもしれませんが落ち着いて計算すれば必ず正答を導けるはずです。(2)については、実質が解けていなくても与えられている情報と計算だけで答えが導ける問題となっています。それを見極めるのが難しいのは重々承知していますが、に手が出なかったからと言っても自動的に諦めない方がいいという教訓として頭の片隅に置いていただければと思います。

 

 

3問 標準~やや難

波の位相を扱う問題です。使う内容は基本的な問題でかつ誘導も丁寧なのでひとつひとつ進んでいけばスムーズに解き進めることができる問題なのではないでしょうか。多少見た目がとっつきにくく、また受験生が残り時間少ない中焦りながら取り組みがちな第3問という観点を含めると、歯ごたえのある問題と感じた方も少なくないと予想されます。計算力も問われる小問もあり、完答するには時間が厳しかったと言ってさしつかえない問題だと思います。

I 誘導に従い立式していけば滑らかに解き進めていけたに違いありません。ところどころ次元の確認などをしておくと計算ミスも防ぎやすくなります。

II 見慣れない式が並びまたsinの中身も複雑だったので手をつけずにパスした方も少ないのではないかと推察します。三角関数の和積はやはり面倒という印象が強いのでなかなか攻めたくならない気持ちも共感できますが、足したり引いたりで位相の部分がうまく消えてくれそうだなと目星をつけることは言うほど大変ではないと思います。時間との勝負を迫られている受験生の方に言うのは心苦しいですが、地道に計算していくときっちり答えの形が導かれます。あとは与えられた近似に従い式を扱いやすい形にして、(3)にて振幅について考えます。試験時間中にここまでしっかりフォローすることができるととてもいいと思います。第2問の最終問題と似た形であることから、電荷と波動の関係について思いをはせてみると面白いかもしれません。

 

■化学 

総評:やや難

分量が多い上に難易度の高い問題も散見され、この時期完答することは難しいと思います。解きやすい問題を見極めて確実に拾い、時間のかかりそうな問題は後回しにして見直しやもう1教科に時間を割くべきかもしれません。

 

1  :標準 :難

Ⅰ ア やってしまいがちなミスとしては、[H2O]を落としてしまうことです。確かに水溶液中ではこの値はほぼ一定であるため、平衡定数に組み込んでしまえるのですが今回のように溶媒がないか、ないし有機溶媒中で起こる反応の場合は当然変数として取り扱う必要があります。

イ 省略

ウ 解答解説では省略されていますが、ここでエステル化反応の機構について触れておきます。受験に必要な知識ではないので、読み飛ばしてもらって構いません。

なお、文書作成環境の都合上構造式をR-C(O-)=O(カルボン酸イオン)のように表記します。また、便宜上アルコール由来の酸素に*を付します。

      カルボニル酸素へのプロトン付加

カルボニル基の酸素原子上には非共有電子対が存在し、プロトン供与体の存在下ではこの電子対をプロトンに供与してカチオンAが生成されます。

R-C(OH)=O + H+ → R-C(OH)=O+H

      カルボニル基へのアルコールの求核攻撃

カチオンAのカルボニルC=O結合中の電子は、正の形式電荷を帯びた酸素側に局在化しています。これにより電子不足となったカルボニル炭素に対し、アルコール性OHの酸素原子上非共有電子対が攻撃し、結合を生成、同時に局在化していたC=Oπ電子を酸素原子に移動させて正四面体型中間体Bを生成します。

R-C(OH)=O+H + R'-O*H → R-C(OH)2-O*+(R')H

      プロトンの交換と脱離

中間体Bに含まれる酸素原子のうち、アルコールに由来するものは正電荷を帯びています。そのため、プロトンを放出、続いてヒドロキシ基にプロトンが付加して優れた脱離基を形成します。これによってもう一方のヒドロキシ酸素上の非共有電子対がC-Oπ結合を形成しつつ水を追い出し、余ったプロトンを放出して反応が完了します。

R-C(OH)2-O*+(R')H → R-C(OH)(O+H2)-O*R' → R-C(O*R')=O+H + H2O

R-C(O*R')=O+H →R-C(O*R')=O + H+

このように、エステル化反応においてはプロトン供与体がいわば反応開始剤として機能します。よく用いられるプロトン供与体としては濃硫酸があげられますが、本問ではベンゼンスルホン酸を使用しています。

エ 本実験では側管にたまっている液体のうち、上層は有機層(トルエン)、下層は水層ですが、上層が水層という場合もあるので注意しましょう。

オ ウで触れた反応機構より、アルコール酸素は生成されたエステル中に存在しています。

 

Ⅱ この試験ではこの設問に手を付けられなくても問題ありません。もちろんできれば完答してほしいですが、2科目を150分で解くことを考えれば、この大問の優先度はかなり低いでしょう。とりわけク以降は難易度が高く、現段階では解けなかった受験者も多いものと思われます。

カ 省略

キ 省略

ク エステルの加水分解で生成した物質(カルボン酸とアルコール)が金属ナトリウムと反応しないというのは奇妙な状況ですが、本問はその状況がどういったものかを問うています。Fはカルボン酸ですから、Gはアルコールと予想されますが、分子式より酸素原子は1つしか含まれていないにも関わらずヨードホルム反応を示します。アルコールとしてエステル結合をつくりながら分解するとカルボニル化合物の性質を示す。ここからケト・エノール互変異性が思い浮かんだかどうかが本問のポイントでした。

ケ 1つ目のポイントは、過マンガン酸カリウムで酸化して二酸化炭素が得られるようなアルケンの部分構造が思いついたかどうか。もちろんこれにはシュウ酸が酸化をうけて二酸化炭素になるという知識が必要です。次のポイントは得られた二酸化炭素の物質量比から、シュウ酸酸化によるパターンしかありえないことに気付けたかどうか。最後にこれとI,Jから推測される部分構造を適切に組み立てることができたかどうか。ここにも前提知識として環におけるシス・トランス異性体の概念が必要となります。

これらすべてのポイント、知識をおさえていることを要求する問題だったのですが、時間配分も考えればここはスキップするのが正解かもしれません。

コ 昨年の入試にも出題された分子内ヘミアセタールを題材とした問題です。C6であるにも関わらず-CHOCH3-CH(OH)-構造をもち、なおかつ五員環または六員環をもつという不思議な条件から、解答解説にある糖の鎖状構造との類似性に思い至れたかどうかがカギとなります。

 

2問 :易 :やや易

Ⅰ 今回の化学で最も解きやすい大問ではないでしょうか。ここを確実にとっておくことが高得点につながるでしょう。

ア 省略

イ 問題文に与えられている式を応用しましょう。

ウ いわゆるVSEPR則の理解を問う問題です。とはいっても反発が大きいできるだけ離れようとすることから容易に解答に辿り着けます。

エ ベクトルの足し算です。

オ VSEPR則から分子の極性を推測する設問でした。なお硫黄原子に関しては、分子によってはオクテット則(八電子則)を満たさないような構造も存在することに注意しましょう。

 

Ⅱ 毎年のように出題される計算主体の大問です。計算が得意な受験者はここが得点源となります。Ⅰでも触れましたが解けそうな問題を見極めとりこぼしのないようにしましょう。

カ 数学です。答えを覚えていた人もいるのではないでしょうか。

キ 解答解説のように解いてもよいですが、オイラーの多面体定理を利用してもよいでしょう。

ク 各辺は2つの面に共有されていますから、すべての面について単結合、二重結合それぞれの数の和をとって、1/2をかければ解答が得られます。

ケ 面心立方格子中に含まれるフラーレン分子の数を丁寧に数えましょう。あとは少々面倒ではありますが単純計算です。

コ カリウム原子は単位格子の中央だけでなく、各辺の中点にも位置することに気を付けましょう。

 

3問 :標準 :やや易

Ⅰ 基本的な理論化学の問題です。平衡定数がらみということで、やや面倒な数値計算をもとめられますが、要求される知識自体はやさしいので、粘り強く計算をやりきりましょう。

ア 省略

イ 省略

ウ いわゆる緩衝溶液です。弱酸または弱塩基と、対応する中性塩の等物質量混合による緩衝溶液のpHまたはpOHはそれぞれ弱酸または弱塩基のpKapKbと一致することが知られています。

エ 亜鉛錯イオンの生成平衡は極めて大きく左に偏っていることに注意して鉄(Ⅲ)イオンの沈殿や亜鉛錯イオンの形成によるアンモニアやアンモニウムイオンの増減を丁寧に計算しましょう。

オ エで求めた水酸化物イオンの濃度を利用します。

カ オと同様にエで求めたアンモニアの濃度を(式2)に代入します。計算がかなり面倒なので時間配分には注意しましょう。

 

Ⅱ こちらも基本的な電気化学の問題です。こういった問題は多くの受験者が解けるため、差がつきにくい傾向にありますから、確実にとっておきたいところです。

キ 省略

ク 省略

ケ(陽極で溶け出した銅)=(陰極で析出した銅)-(溶液中から析出した銅)が成立します。これと陽極の質量の減少量、および陽極泥の質量から容易に計算できるでしょう。

コ 陽極泥はPbSO4であり、その物質量は電解液中のSO4-の減少量に等しいことから容易です。

サ (1)は有名事実です。(3)はイオン化傾向(金貸すな...)を覚えていれば選べたでしょう。銅は水素よりイオン化傾向が小さいので希硫酸には溶けないことには注意しましょう。

 

 

■生物 標準

初回の本番レベル模試ということでやや易しめの問題だったと思います。基本問題と書いた問題は本番では解答したい問題です。できなかった方は、教科書をしっかり読んで内容を覚えていきましょう。記述問題は何をどう書けば良いのかわからなかった、という人も多いと思います。リード文や実験結果など問題冊子の情報だけで答えられるように出題されているので、トンチンカンな記述を書いてはいけないし、模範解答を参考に型を身につけてほしいです。夏秋に向けて今一度、丁寧に教科書の内容をさらっておきましょう。

 

第1問  標準

A基本問題。

B基本問題。

C基本問題。

D傍線部がそのまま答えになるが、いちおう自分の言葉で記述すべきです。

Eトンチンカンな記述を書いてしまいがちですが、素直に考察できること(TLRの輸送に関わる)を記述すれば良いです。

F基本問題。

G() 基本問題。()典型記述。「まとめて転写、別々に翻訳」

H一番の良問。丁寧に考察すれば解けます。最終的にはこのレベルの考察問題はサクサク解けてほしい。

I「低分子に分解して取り込みやすくしている」というのも間違いではないが、本問で期待している解答はそうではないです。「CMMは他の土壌細菌のもつ加水分解酵素では分解されない」という情報から考察される生存戦略上の利点を答えるべきです。

 

第2問 やや易

A基本問題。

B基本問題。

C今は知らなくてもよいレベルですが、教科書には書いてあるので最終的には覚えるべき知識だと思います。

D典型記述。「海綿状組織で光を散乱」

E図を見れば吸収波長が異なることが明らかであり、無理なく記述できます。

F落としたくない問題です。

G前問を念頭におけば、解ける問題です。

Hトンチンカンな記述を書いてしまいがちですが、素直に考察できること(すぐには光合成能を回復できない)を記述すればそれで良いです。

 

第3問 易

A今は知らなくてもよいレベルですが、教科書には書いてあるので最終的には覚えるべき知識です(この程度であれば入試でも出題されうると思われる)

B一つ一つ吟味すれば解けるはずです。

C()計算のみ。()木材のC/N比は幼虫の生育にとって窒素が不足しているという情報から記述できます。()基本問題。()計算のみ。()前々問を念頭におけば解ける問題です。

D一つ一つ吟味すれば解ける問題です。

E語句指定に従って素直に記述すれば良いです。

 

 

 

 

 

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地歴は出さないんですか?

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