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東大特進コースのスタッフによる第一回東大本番レベル模試の所感です。

今回は【国語】です。

受験生目線の所感です。復習の参考にしてください。

 

■現代文

第一問 標準

引用が多用されている文章でした。「引用文中の表現は解答に残さない」という原則を守れたでしょうか?今回は引用文中の特殊な表現は少なかったですが、例えば「ノエマ」(17段落)や「来ることになるもの」(18段落)などを解答に使う際には言い換えた方が良いでしょう。

テーマとしては第四問で扱われそうなタイプの文章でしたが、「写真の本質」という本文全体に一貫するテーマや本文中に見られるいくつかの対比といった基本的な部分をきちんとおさえられたかがポイントになります。

()標準

「この世に存在しない」という「不在」と、その上で「写真にも写っていない」という「不在」をおさえ、バルトの驚きは後者に関するものであることをまずしっかり把握しましょう。その上で、「現前」というワードをある程度補って(それか問題文後半を踏まえて)説明することが求められています。

模範解答では具体例のまま書いていますが、ある程度一般化した解答も許容されると思います。

()やや易

まずは直後の二要素をおさえましょう。その上で「自身が存在する以前の母の写真」と「自身が母とともに存在する写真」との過去想起に関する対比を把握して解答を作成しましょう。比較的容易な問題です。

()やや易

稀にこのような、単純な「どういうことか」、「なぜか」ではない問題も出題されますので、問題文の要求は必ずしっかり確認するようにしましょう。

17段落の「バルトが『温室』の母の写真に見たものは〜」という記述を見るに、15~17段落で述べられているストゥディウムとプンクトゥムの対比を中心に述べれば良いとわかるでしょう。

また、12,13段落でこの写真が「本質的な写真」であるということが繰り返し述べられているので、そのことにも触れられると良いでしょう。

()標準

120字問題は「本文全体を踏まえて」といった付帯条件があることがほとんどですので、まずは問題文の要求をしっかり確認しましょう。とは言え、基本は傍線部付近を中心に解答を構成することが多いのですが、今回はむしろ傍線部はほぼ関係なく、本文全体から「写真の本質」について述べることが要求されています。

文章前半では「不在の現前」、そして後半では「プンクトゥム」が「写真の本質」として話の中心になっています。両者は共に、「今ここにないもの」の存在を確かに感じさせるというような文脈で語られている(これを「換喩的」と表現しているのだと思います)ので、そのような共通点を押さえつつ解答をまとめていくと良いでしょう。

模範解答は前者を「空間」における換喩、後者を「時間」における換喩として華麗にまとめていますが、実際には受験生はここまでおさえられなくても仕方がないと思います(ナポレオン自体時間的にも存在しないということがこの区別の把握をより一層困難にしているかと思います)

ただ、傍線部に「うしろ向き」や「予言」といった時間的要素を示唆するような表現が含まれていることや、14段落の「それは『時間』でもある。」といった記述を踏まえて、「時間的な『換喩』」の方はおさえられると良いでしょう。

() 標準

東大の漢字は大体これくらいのレベルです。漢字に不安のある方は少しずつトレーニングをするといいでしょう。

 

■古典 

第二問:やや易

「十訓抄」からの出題でした。読みやすい文章であったことに加え、設問自体も難解なものはなかったので、ここで点を稼ぎたいところです。内容説明・理由説明の問題では、問われている部分はどこかをしっかりと見極め、過不足ない解答を作成することが求められます。

以下、問題番号は文系用の問題に準拠します。

(一) 

典型的な現代語訳の問題です。(ア)では係助詞「か」が反語であることがわかるように現代語訳できると良いでしょう。(イ)では、「浮く」の現代の意味とは異なる古典的意味を抑えることが大切です。

(二)  やや易

内容説明問題です。目的も明示せよとのことでしたが、どこまで書いたらいいか迷った人も多いでしょう。今回は、「蜂たちが隠れるための」という簡潔な説明で十分でした。それ以外の部分はほぼ現代語訳と変わりないので、問題で聞かれている箇所を的確に探し出すことがポイントになってきます。

(三)  やや難

理由説明問題です。余吾大夫が現れた時に敵方が喜んだ理由が問われていますが、傍線部の現代語訳がわかるだけでは解けません。傍線部が含まれる文をしっかり読んで分析すると良いでしょう。ここでは、「これに侍り。」の『これ』が「ここ(場所)」という意味であることが重要です。この意味がわからないと、的確な解答を導くことは難しいでしょう。

(四)  標準

内容説明問題です。「物の数にあらず」いう表現は頻出であるので、わからなかった人はこれを機に絶対に覚えましょう。「特に数え上げるほどではない」という意味であることを理解した上で、適切な表現に自分なりに変えて解答を作成しましょう。

(五)  やや易

内容説明問題です。傍線部の直前が大きな手がかりになります。「死にたる蜂〜」から始まる段落の内容要約という面が大きいので、いかにコンパクトにまとめられるかが鍵になるでしょう。

 

第三問

漢文は『池北偶談』からの出題でした。

(一)  やや難

短い傍線部現代語訳の問題です。bは言い回しを少し工夫するとより自然な解答が作れるでしょう。cが少し難しかったと思われます。「劇」を「はげしい」という意味だと読み取ることがポイントでした。dに関しては、漢文で頻出の慣用表現であるので間違えてしまった人はこれを機会に覚えましょう。

(二)  やや難

理由説明問題です。どの部分を解答に盛り込めば良いのか迷った人も多いのではないでしょうか。解答の後半部分にある「報いて豊かにしてやるため」という部分は、少し想像力を働かせないと思い付かないかもしれません。理由説明問題は大抵傍線部の直前又は直後に答えがある場合が多いですが、この設問のように文章全体を頭に入れた上で回答する必要があるものも時にはあります。

(三)  標準

空欄補入問題です。東京大学が出題する漢文の空欄補入は、対比に注目することがポイントとなることが多いです。今回も例に漏れず、一つ前の隣家の者の病気を治したという話の最後にあった「果即日愈」に注目することができれば解けた問題です。

(四) 

理由説明問題です。まず「卒す」の意味がわかっていないと解答の方向性がずれてしまいます。これも頻出の意味であるのでわからなかった人はこれを機に覚えましょう。この問題では「宿業深長たり」がポイントなのですが、この意味を正しく把握できるかどうかが解答の完成度を左右します。古典ではよく「前世の因果応報」が話に出てくるので、それを意識しておくといいでしょう。

(五)  標準

理由説明問題ですが、本質的には現代語訳の問題とほぼ変わりません。傍線部の前後を精読し、問われた内容を解答欄に収まるようにまとめる技術が問われていると言っても良いでしょう。

 

 

■現代文 第四問 

総評:やや易

全ての設問で傍線部周辺を探せば答えにたどり着けるため、解き易い問題でした。

(一)〜(三)で失点した受験生は、よく復習して次に役立てましょう。

 

(一)易

「変化」とあるので、夢の変化の前と後のことを書けばよいでしょう。傍線部直近に根拠があるため、とても書きやすい基本問題です。これは落とさないようにしたいですね。

 

(二)易

「やっとわかった」とあるので、何がどうだとわかったのかを明示することを考えましょう。「何が」は傍線部の前の段落、「どう」は傍線部直後にあるので、これも解き易い問題です。書き損ねるとすれば、悪夢を「反復していた」ことや、それが結果としてもたらしていた効果についてですね。根拠をまんべんなく拾うということを日頃から意識しておきましょう。

 

(三)やや易

PTSDがどのようなものかと、「私」がそれに当てはまっているということを書けばよいと明確に意識すれば、それぞれを具体化するのは難しくなかったでしょう。傍線部直後の、PTSDについてではない内容を長々と書かないように注意しましょう。

 

(四)標準

傍線部を含む最終2段落から根拠を拾うべきであることは明白であるから、そこから傍線部の理由となるように丁寧に要素を拾いましょう。ただし、「わかる」「表現」といった「」付きの言葉は、筆者が普通とは違う特別な意味をこめているため、そのまま解答中に記すことはせずに必ず言い換えるということに注意してください。

 

 

 

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