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私の赤痢研究は北里先生の懇切な指導の許になされたものである。然るに研究が予想以上の成果をあげて論文を発表するにあたり、先生はただ前書きを書かれただけで、私一人の名前にするように言われた。

志賀潔医学者・細菌学者

志賀潔医学者・細菌学者

志賀潔は、近代日本医学の父と称される北里柴三郎の門下生として伝染病研究所に入所し、当時の人々を恐怖に陥れていた赤痢の病原菌(赤痢菌)を世界に先駆けて発見するという歴史的快挙を成し遂げた細菌学者です。まだ帝国大学を卒業したばかりの若き研究者に過ぎなかった彼が、昼夜を問わず研究に没頭できる環境を作り、世界的な大発見へと導いたのは他ならぬ北里の徹底的な指導と庇護でした。その後も彼は、コッホの下への留学など国際的な舞台で感染症研究の最前線を走り続け、日本の近代医学の礎を築くとともに、後進の育成や医療制度の発展にも多大な貢献を残した不世出の科学者です。


この言葉は、彼が自身の研究人生を振り返り、回想録の中で恩師である北里柴三郎の圧倒的な器の大きさと深い慈愛について綴った、極めて胸を打つ一節です。自らの指導のもとで行われ、本来であれば共同研究者あるいは指導者として北里の名前を連ねるべきほどの世界的価値を持つ論文であるにもかかわらず、北里はあえて自身の名を一切表に出さず、前書きを添えた上で「若い志賀君一人の名前で発表しなさい」とすべての功績を若き弟子に譲り渡しました。自分の名誉欲よりも、これからの未来ある若手研究者のキャリアと誇りを守り、世に羽ばたかせることを優先した北里の無私の姿勢と、その恩義を生涯忘れることなく敬愛し続けた志賀の誠実な魂が、この言葉の背景に深く息づいています。


受験生の皆さんも、日々の学習や部活動、進路の準備を進める中で、学校の先生や塾の講師、あるいは家族や先輩から親身な指導や手厚いサポートを受けていることでしょう。しかし、毎日当たり前のように提供される環境やアドバイスに対して、「自分が努力して勝ち取ったのだから当然だ」と、その陰にある支えの存在を見過ごしてしまってはいないでしょうか。志賀潔が恩師の深い配慮を生涯の感恩として心に刻んだように、自分の成長や成果の背後には、必ず導いてくれる先達や支えてくれる人々の温かい存在があることを忘れてはなりません。周囲への感謝の気持ちを謙虚に持ち続けることこそが、より大きな人間的成長と確かな実力を引き出すための最大の原動力となるのです。


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志賀潔

志賀 潔(しが きよし、1871年2月7日(明治3年12月18日) - 1957年(昭和32年)1月25日)は、日本の医学者・細菌学者。

(wikipediaより一部抜粋)

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