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2026/10/14
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永井荷風は、文明開化以降の東京の失われゆく江戸の情緒や風俗、そしてその中に生きる人々の哀感を艶やかな筆致で描き出し、『うでくらべ』や『すみだ川』などの数々の名作を世に送り出した近代日本文学の巨匠です。外国語学校などで学んだ後、アメリカやフランスへ留学し、西欧の近代文化に触れながらも、帰国後は日本の伝統的な退廃美や粋な世界に深く傾倒し、世俗の権力や変化していく社会から距離を置きながら独自の美学を追求しました。小説の執筆にとどまらず、自らの生活のすべてと時代の空気を克明に記録し続けた、日本文学史上における類まれな記録者でもあります。
この言葉は、彼が生涯のライフワークとして38歳の時から79歳で亡くなる直前まで、丸42年間にわたって一日たりとも欠かすことなく書き続け、日本文学における最も貴重な記録文書となった膨大な日記『断腸亭日乗』の冒頭に記されている、極めて重みのある一節です。あるとき「これからは日々欠かすことなく筆を執り、自らの記録を残し続けよう」と固く心に定め、それまでに書き溜めていた前年の記録を第一巻として新しい罫紙の本に丁寧に書き直したという、その起点の瞬間が語られています。自らの決意を日々の習慣へと昇華させ、どんな日であってもペンを握り続けるという強靭な意志を持ち続けた荷風の、圧倒的な継続力がこの言葉の背景に深く息づいています。
受験生の皆さんも、日々の学習を進めるなかで「毎日単語を覚えると決めたのに、今日は疲れたから明日でいいや」「少しぐらいサボっても大勢に影響はないだろう」と、日々の小さな積み重ねを軽く見て自分を甘やかしてしまってはいないでしょうか。しかし、永井荷風が42年間にわたって17巻もの膨大な日記を編み上げたように、一度「毎日必ずこれだけはやるとやり抜く」と心に決めた小さな習慣の継続こそが、いつか自分でも驚くほどの揺るぎない実力や自信という大きな形になって返ってきます。今日という一日に妥協せず、決めた道を淡々と積み重ねていく持続の力を大切にしていきましょう。
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